110:助ケル/カル
―――――
――
ネオ・チバシティを縦横無尽に走る
その実態は、
凄腕の
彼に会う理由は、取り戻した漢字
ソフトに関しておにぃは万能だが、ハードに関してはそうもいかない。複雑で多種多様な言語を有する残酷大陸出身の彼は、高次な翻訳言語プログラムとその音声化システムと装置の開発においてトップクラスの人物。
音声化装置の必要性。
それはおにぃの提案。
おにぃは、ナニか、を取り戻そうとしている。そして、
同音異義語の多い日本語表記において漢字の欠落はコミュニケーションの
らしい、と云うのは、ボクの問い掛けに対し、おにぃからの応答が多くなったから。多少、無口キャラからは解放されたのかも。
とは云え、
生体に
ボクの
偶然の
ボクが偶発的にガラクタを手にしていただけ。
ガラクタ同士、お似合いだと思うよ。
――だったのだけど、なんてここは治安が悪いんだ。
駅に着いて間もなく、
見掛け上、白人少女のボクと
おにぃの持つ
悪意――
――敵意、と云うべきか。
ボクは、それに敏感だ。
すぐにそうと分かる。
困った事に、どう云う訳か、おにぃもそれに過敏だ。
孤独の
――まずい。
おにぃの倫理観は、平時のそれとは大きく異なる。
ヒトを斬る事を、何とも思っていない。
ヒトではないボクがそう理解しているのだから間違いない。
仕方ない――
ここは、ボクの出番だ。
Kurikara>下がっていろ
「下がっているべきなのはおにぃの
Kurikara>......
近付いてくる
「お嬢チャン、キミは後回しだ。マズはソッチのガラクタからだ」
「<跪け、下郎!>」
ドゴン――
黒人の大男は急に
その大男の連れ達も
「WTF!?」
「どうした!!?」
「う、動けない……」
「なんだ?ナニをした、ガキ!」
「<平伏せ、愚民共!>」
――orz。
男達は跪き、
自分達に起こっている事態に混乱している様子。だが、口汚く
その
ボクの
本当、この
さて――どうしよう?
壊すのは簡単だけど、それじゃおにぃと変わらない。ここは何事もなく、駅の外に出たいんだけど、なぁ。
Kurikara>
「えっ!?」
Kurikara>こういう事だろう?
その黒人型人造人間が
あまりにも勢いよく跪いた為、インターロッキングブロックが砕ける程。
これは――
――クラック。
侵入したんだ。その人造人間の中枢制御系に、
ボクの
不思議な感覚。
助けるつもりでいたのに、助けられている。
なんて、
Kurikara>立ち去ろう。
「……うん」
ボク達は足早に立ち去った。
気付かれない
そんな甘い事ない筈なのに、ボク達は互いに感心して気付けなかった。
そう、ボクもおにぃも、孤独の中で過ごす野性的な防衛本能に支障を来していたんだ。
いや、気付きたくなかっただけなのかも知れない、少なくともボクは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます