第30小節目:徒然モノクローム
* * *
「知ってるか
お姉ちゃんが高校生で
学園祭の曲決めか何かでうちに遊びに来ていたお姉ちゃんのバンドメンバーのうちの一人が言っていた。
「
「
テーブルの上にはバンド用の楽譜と、コーラやファンタやポッキー。
みんなに
「……日本語なんだから、そりゃそうなんじゃないの?」
わたしがそう言うと、そうじゃないんだ、と返ってくる。
例えば、語源となった中国の『青春』は単純に季節を表す言葉でしかないらしいし、じゃあ英語ならどうだと思って辞書を引いてみると「youth」と出てくる。それは単に「若者」ってことであって、青春とはちょっと違うんだそうだ。
あの人だって別にすべての言語を調べたわけじゃないだろうし、そもそも本当に中国や英語圏では「青春」とか「youth」という言葉にそういった情感が込められていないかどうかだってネイティブじゃないんだから怪しいものだ。
今思えば
だけどその
そのせいもあるかもしれない。
両親について海外に行ってしばらくしてから、初めて日本の学園もののアニメを見た時、胸がいっぱいになった。
海外に住んでいるわたしからすると、高校生活の輝きをちょっと過大評価しているというか、あたかも「高校生活が終わったらあとは
だとしても、日本の高校生活っていうのは、青春っていうのは本当にそんなに良いものなんだろうかと興味が湧いた。
そして去年の今頃、
「ウチ、日本の高校に行きたい」
反対されるかと思いきや、パパとママは日本の高校で出会ってそのまま結婚したカップルだったもんだから大喜びで、あれよあれよという間に
想像していたよりは多少地味な制服に
実際の日本の高校生活にあんな輝きはない。
『青春っていうのは本当にそんなに良いものなんだろうか』
答えは簡単で残酷だった。
青春なんて嘘っぱちだ。
* * *
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