第38話
翌朝、ムスル達を送り出すにあたり、カルの実を大量に持たせてやった。カルの実をすり潰すための、すり鉢とすり棒のセットで。カルの実、あれ、メチャクチャ硬くて、並みのすり鉢とかじゃ、崩しもできないんだよな。なので、トカゲを切断した金属で作ってある。蒼い金属と、なんだか妙な色をしているが、、コイツの有用性は計り知れない。刃物として扱うと良い切れ味してるんだよね。これがまた。
俺には軽々なすり鉢とすり棒だが、普通の人には重いらしく、タカシが歯を食いしばって持ち上げ、アイテムボックス内に収めてたな。
アイテムボックスかぁ、俺もそういう便利なチートにすればよかったかな? 今の身体を鍛えれば鍛えるほど成長するってやつも、悪くは無いんだが。
ムスル達を送り出し、まず手を付けたのは、大きなトカゲの処理。近隣住人総出でお肉の穿り出しだった。なんせ、表皮は刃が通らず、肉そのものも、俺が全力を出せば何とか切り出せるという肉質の堅さ。タガネとハンマーで削りだす肉。何を言ってるとわからねぇと思うが、俺もどう説明したらいいかわからねぇ。うん、そのお仕事が俺に回ってくるのは仕方ない。
堅い肉も何度か切り分けているうちに、筋力が上昇したのか、比較的容易に切り出せるようになった。切れれば適当な大きさのブロックにして近所に配るだけだ。調理法は、各家の工夫に任せる。俺一人だけで考えるのは無理だしな。このトカゲ肉が食えない以上、狩りには行かねばならん。
でかいトカゲは、まだまだ大量の肉をその身に残してはいるが、暫くは放置だな。手の空いたときに、みんなで肉の採掘でもやればいいだろう。
後は、フラグ回収用の武器というか兵器の作成だな。
地を潰した以上、何らかのアクションがあると考えるべきだ。
何も起こらないと考えて、思考放棄をするのはアフォのすることだ。備えあればなんとやらだ。
他の属性のうち、火や水は火山地帯や水場から動かない、もしくは動けない可能性があるから除外するとして、敵になると予想できるのは、風だとか空だとか天だとかその手の属性持ちだ。長年生きてりゃ横の繋がりくらいはあるだろうしな。備えておいて損はしない。
拠点の遥か地下に、巨大なマグマ溜まりを作成しておく。その真下に、岩盤を間に挟み、地下水も導いておく。空からくる外敵には、地面そのものを大砲の砲身にし、地下水とマグマを混合させることで水蒸気爆発を起こし、その爆発力で表層の岩石を噴石散弾、本体の溶岩弾を対空手段として用意しておく。後始末が死ぬほど大変だろうから、来ないでくれるなら来ないでくれると嬉しいんだけどな。
基本的に肉弾戦闘しかできない俺からしてみれば、空を飛ぶのは卑怯だし、卑怯な攻撃をしてくる相手に卑怯な手段で対抗しても問題ないだろう。空を飛ぶ卑怯なやつに『魔法は卑怯だ!』とかは言われないんじゃないかな? たぶん。
一応、地系統の魔法になるだろうし。名づけるなら『ボルケーノ』って所か? 『地魔法最上級魔法、ヴォルケーノォッ!』とか叫びつつ放ったらカッコ良くね? 中二病成分が多分に含まれてるかもしれないが、そこは気にしちゃダメな奴や。
そもそも、強大な魔法を下準備無しで放てるこの世界の最上級魔法というのがおかしいわけで、下準備さえしてたら、規模の小さい魔法技術でも似たような化学現象を起こせるってのは良い事だけどな。
これらの準備を、普段の狩りと食事の支度、そして日々の鍛錬と並行してやっていく。
あ~、魔法関係の能力がゴリゴリ上がっていく気がする。魔法の能力値も、実は上限がなかったりするのかね? 上昇幅が、肉体の能力と比べて緩やかなだけで。そのあたりも一度聞いてみたいが、あいつの居る場所にどうやったら行けるのかがわからん。この辺りは追々試すしかなさそうだなぁ。
背高のっぽだった俺が小人族に転生 にゃむにゃむ @nyamunyamu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。背高のっぽだった俺が小人族に転生の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます