第34話

 某動物KingdomのMごろうさんのように『よ~しよしよしよし』とか言いながらクレスを撫でまくったら、ムスル以外の三人が、肩をプルプル振るわせたり、明らかに噴き出したりしていた。あれか? ムスル以外は実は転生者とかだったりするのか? まぁ、俺の趣味も多分に含むが、共通な元ネタを使うのが素性を調べるのに一番いいからなぁ。ムスルとパーティを組んでるのは、ムスルが扱い、俺の作り上げたなんちゃってゲーム格闘術が要因なんだろうなぁ。

 それならそれで、俺も気づかないようにしてやるというのが優しさというものだろう。フラグ? なんスか? それ。


 手の上げ下げコンビを追い出し、皆をリビングに相当する部分にあげ、『公衆の面前でこんにゃ辱めを受けるにゃんて・・・・・・でもそこが堪らにゃいにゃ』とか悶えてたクレスを引き起こし、タルマとニルスを呼びに行かせる。あれから結構経つのにタルマは子猫のままだ。ケットシーの成長速度はどうなっているのやら。

 ・・・・・・はっ!? まさか、タルマのやつ、あいつ・・・・・・あれで成人してるとか言わないよな? 俺たち小人族も外見詐欺だが。もし本当にそうなら、あいつも相当な策士よのぉ。まぁ、可愛いからそこはどうでも良いが。可愛いものは正義だからな。


「はじめましてにょ。わたいはタルマというにょ。こんごともよろしくにょ」


 うん、舌足らずな感じは昔と変わらん。これが計算なら、空恐ろしくかんじるんだがなぁ。そうではないと信じたい。


「あたちの名前はニルスというのよ。いつもムスルにぃさんがお世話になってるのだわ」


 うん、俺の妹であるニルスもいつも通り可愛い。タルマもニルスもそういう生物で良いじゃないか。二人ともそう言う可愛い生物。うん、あの二人は擬態や計算ではなくそういう生物。モウソレデイイヤ・・・・・・。


 その可愛い二人に、ムスルのパーティメンバーもデレデレだ。あの堅物そうなグラムスも、相好を崩し、目尻が下がっている。やはり可愛いモノは、何というか・・・・・・強い。



 まぁ、あいつらを見てても食事はでてこないので、俺が準備をしないとな。

 テーブルに鍋敷きを置き、大鍋をそこに設置。後は石窯風オーブンへパンもどきの種を張り付けて行く。

 この辺境の地には穀物類が見当たらない。なので、芋と豆から作ったデンプン質な粉を焼いたパンもどきしか作れなかった。今回はカレーもどきということで、ナンもどきなんだがな。もどきとはいえ、サックリもちもちしてて、これはこれで美味い。発酵という工程は含んでないから、パンとしては少し重いのが欠点だが。

 ナンもどきが焼けるまでに少し時間があるので、クレスに先導させ、皆を手洗いに連れて行かせる。食事に前には手を洗うのが我が家のしきたりだからな。こればかりは譲れねぇ。

 皆が手洗いから戻り、ナンもどきが焼きあがったところで、皆の前の皿にナンもどきを山積みに置き、カレーもどきを皿に入れて配っていく。カレーもどき以外は自由にお取りくださいってシステムだな。家族が多いとメインのみ提供して、後は各自で確保させるのが一番やりやすい。食事も戦いなのだよ! 主菜は栄養満点なのを提供すれば、食が細くても十分だしな。え? 当然、メインのお残しは許しませんよ?


 しっかし、このカレーもどきは一味も二味も足らないけど、香りだけはカレーに近いんだよなぁ。もう少し香辛料が手に入れば完璧になるのになぁ。


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