第31話

「僕のパーティーメンバーを紹介するよ! そっちの女の人がシャーリーさん。精霊魔法の使い手ですっごいんだよ! そっちの男の人がグラムスさん。タンク役で回復魔法の遣い手さ! ボクも何度も助けられたよ! 後ろにいる男の人がタカシさん。僕と同じアタッカーで双剣の遣い手だよ。目にも止まらない連撃の凄い人だよ!」


「は! 紹介にあずかりましたグラムスと申します。あなたがムスル殿の兄上でございますか。噂はかねがね聞き及んでおります!」


 グラムスさんは、なんか四角い。身体も顔つきも。フルフェイスの兜から覗く髪の色は銀に近い金色で青い瞳だが、全身から『盾』って感じがにじみ出てる。大盾持ちのフルプレートメイルだからかね? 武器はなんだろう? ロマンあふれる盾のみ装備かね? しかし『噂』ね。ムスルは俺のことをどう紹介してるんだろうなぁ?


「おうぅ。俺ッチはタカシな。よろしく頼むわ」

 

 タカシさんは、ツンツンした黒髪に焦げ茶の目。一見ひょろっとしてるが、身のこなしはかなりのものだな。うちの免許皆伝者並みじゃね? 髪色は黒だが、田舎のヤンキー臭がにじみ出てる。しかも双剣だと? ヤンキー臭と共に中二病患者の臭いがプンプンするな。剣を両手に持つより両手で持ったほうが威力は出るだろうに。俺の主観だがな。ってか、こいつ、転生者だろ?


「ハァハァ・・・・・尊ぃ・・・・・・」


 鼻を抑えてハァハァしてる変態は、父上様によく似た長く尖った耳と白い肌で腰まで伸ばした金髪が特徴的。背がスラリと高く胸周りもスラリとした感じで、そのまま立ってれば美人さんなんだろうが・・・・・・猫背で鼻を抑えてハァハァしてる点で全てが台無しだ。なんだろう? とてつもなく腐臭がするんだが・・・・・・こいつも転生者だったりするのかね? もしくは、転生者に布教されたか・・・・・・だな。


 男の盾兼僧侶と剣士、女は魔法使い系か。ここに近接格闘術使いのムスルが加わる訳か。それなりにバランスは良さそうだな。

 しかし、あの魔法使い、精霊使いだっけか? 腐が入ってるみたいだが、腕がいいなら問題ないのか? 普通にパーティーメンバーで掛け算とかしてそうで・・・・・・ま、まぁ、害がないのなら良いかな。

 ニルス辺りに布教とかされたら、そりゃもうブチ切れる自信はあるが。


「おらっ! シャーリー、てめぇ、挨拶くらいできねぇのかよ!?」


 タカシなる男がシャーリーの肩をどつくと、少し正気に戻ったのか一応の会釈はしてきた。ハァハァという息遣い以外の言葉は無かったが。

 雰囲気はヤンキーっぽいが、意外と世話焼きタイプなのかね?

 

 それにしても『タカシ』か。名前からして転生関係者本人かそれに準じた存在だろうか。

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