第29話
さて、倒したはいいが、どうやって運べばいいのだろうか?
グレートリザードくらいなら、力任せに引っ張れば運べたんだが・・・・・・。
もう少し、拠点に近い側で倒すべきだったか?
だが、明らかに人口の構築物が近いと、コイツも警戒したろうしなぁ。瞬殺できたのは、俺の存在が意識の外にあったからだろうし。
ちょいとばかり、普段は出さない最大出力で踏ん張ってみるかな。
「むぎぃぃぃぃぃぃっ!」
うん、こいつぁ無理だ。ピクリともしやがらねぇ。あ~、背中の筋肉がチクチクする。
ならば、どうやって運ぶか・・・・・・だ。こんな巨大なお肉、見逃す手は無いからな。食べきれない分は、燻製にするなり干すなりすれば、かなり長い間、美味しいお肉を堪能できる。
人を呼びに行って、大勢で運搬?
これが一番早そうだが、これだけ巨大な獲物、ほかにも狙ってるやつがいるかもしれん。倒した当人が居ないと、盗まれはしないだろうが、問題に発展するかもしれないからな。したがって、俺が呼びに行くのは論外だ。
大きな用水路を使って、地下水を引いて半ば浮かべるようにして運搬?
ダメだ。魔力が足りねぇどころか、この大きさを運ぶとなりゃ、それはもう『運河』だよな? 却下だ却下。ここは山の上の辺境、テーブルマウンテン的な秘境。高さも幅も十分あるが、下手して崩れたら大規模な土石流になりかねん。ダム湖の決壊とか、ヤバいどころじゃないからなぁ。ダムなら、まだ川の流れがあるから多少は範囲が抑えられるが、山の上の適当に作った運河が決壊したとなると・・・・・・想像するだに怖ろしい。
ぶった切って、部分に分けて運ぶ?
ダメだ。マジで斬撃が通らねぇ。斬るどころか削るのも難しい。ばらすのは無理だなこりゃ。
動かないのはコイツが地面に寝てるからだ。ならば浮かべれば?
ダメだ。それ系統の魔法とか使えねぇ。重力系の魔法が使えたらよかったんだが。地系の魔法ならそれなりに堪能だが、そんな異法は使えん。
地魔法で大きな金属製のコロを作り、その上を運搬?
これは良さそうだがダメだ。コロを下に敷くのが無理だ。まず、持ち上がらないんだからな。
地魔法で大きく緩やかな坂を作りつつ、それをうねらせながら少しずつ運搬?
うん、これなら良さそうだ。
うん。これならいける! そう思ってたがダメでした。
要因は摩擦の存在。こんな岩のようにゴツゴツした表皮、地面に引っかかって引くことすらできやしねぇ。手足もなんか突っ張るし、無駄に地面に引っかかるしな。
大規模な坂は魔力の消費が激しい。ならば、坂を作ったうえでソリに乗せコロも併用すれば・・・・・・?
これは、思ったよりもうまく行きそうだ。作ったコロを敷くんじゃなく、地面に直接ソリとコロを作り、後で邪魔な土を除ければいいんだよな。発想の転換というやつだ。3Dプリンター的なやつだね。あれも形成後に、余分な部分を取り除くしな。
まずは、地面に魔力を浸透させ、トカゲのお尻の方を持ち上げる。持ち上げたら地面にソリとコロを埋め込むようにして作り、コロの周囲の土を細かい粉末状にし摩擦抵抗を下げる。後は、坂を少しずつうねらせるように前進させれば・・・・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます