第25話
ムスルが旅立ち、数年が経った。
伝え聞く話では、冒険者のランクを着実にあげ、10段階のランクで上から2番目の位置についてるという。
最初に街にたどり着いた時、冒険者の集う建物でなにやらやらかしたらしく、元2の位を持つそこのギルドマスターを叩き伏せ、5の位から始まったそうだけど。うん、狙い通りだな。
ニルスは相も変わらず家事手伝い・・・・・・と、言う名の引きこもり。どこかに出て冒険とかする気はない模様。
家にいれば暖かいモフモフは居るし、外の世界では高級と言われてる魔物素材の毛皮を使い好きな服が作れるし、美味しいご飯は自動で出てくる。『なんのために外に出る必要があるの? それに、にぃにを一人置いてあたちが外に出るわけないのよ?』とか言われたら、兄として何も言えねぇ。俺のほかにケットシーがいるのだが、あいつらは勘定に入ってないのがアレだけれども。まぁ、なんだかんだ言ってもペット枠なんだろうな、あいつらは。いつまでも自宅でのんびりしてるのは思うところがないわけでもないが、兄妹の中が良いのは良いことなんだよな。それでも、もう少し外に出てもいいと思うぞ。
俺は俺で、自宅の魔改造を行った。周囲の巨石を集め、土魔法で融合し、城壁さながらの外壁を製作。融合させたので本来は一枚岩なのだが、レンガ風のタイル模様にしてある。色もきっちりと赤色系の鉱石をコーティングしてあるので、見た目は中々のものだ。外側の厚みは2mくらいで、中間に衝撃吸収用の目の細やかな砂を2mくらいの厚さで入れ、そして内側の壁は3mくらい、中間の砂ゾーン合わせて7~8mくらいの分厚い外壁にしてある。冬の寒さから家族を守る断熱構造でもある。ここまで頑丈なら、そこらの攻城兵器でもビクともしないぜ。魔法は正直よくわからん。巨大な岩をぶつける衝撃テストには問題なかったが、超高熱の魔法とかぶつけられたらどうなるかはわからんなぁ。俺はその系統の魔法は使えんし。
トイレも水洗完備。さすがにウォシュレットは難しいってか、普通に水で洗えばいいよな。水系の魔法が使えるんだし。水洗トイレ用の水は、川からサイフォンの原理を利用し、引いてある。
台所に、シンクに調理台、コンロを完備した、システムキッチン風の台所も暇つぶしに作った。まぁ、小人族のサイズなんで子供用みたいに感じになったがな。
さすがにかまどじゃ、こうなんていうか、料理しにくいんだよな。
自宅を6角形の砦風に改築した結果、ニルスの部屋は最上階の部屋ではなく、最上階の1室になった。今は屋上にも出られて、入口が雪で埋まった場合の非常用の出口としてある。冬の間、何度か入り口が埋まって難儀したんだよな。そのたびに天井に出入り口の穴をあけるのは面倒というのがその最大理由だ。
砦風の俺の家に安心感を覚えたのか、数組の小人族が近所に引っ越してきている。まぁ、近所というか目と鼻の先なんだけどな。さすがに我が家には招き入れてないけども。あいつら風呂に入らないから臭いんだよなぁ。あまりにも長い間風呂に入らないと、嗅覚が慣れてしまい自らの体臭は気にならなくなるみたいだし。
普通の家は土饅頭に入口がある簡易な奴だが、土魔法に堪能な者は俺と同じような砦風の家を建ててるやつもいる。まぁ、こじんまりとしてるから、砦というよりも、石造りの大きめの家って感じだが。人間には大きめの家でも、俺たち小人族にはかなりの大邸宅だ。一応、断熱構造のことは伝えてあるので、冬でも大丈夫だとは思う。地下室も作ってるだろうしな。
見た目は砦を中心とした、ちょっとした城下町風かな? いや、スマン。少し盛りすぎた。城下町っていうよりも、砦と兵舎と土饅頭って感じが正しいか。見方によっちゃ、砦と兵舎と墓地って感じか?
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