第20話
冬場のモフモフは実に尊い・・・・・・。
寒い冬もモフモフが居れば乗り切れる! やっぱりモフモフ様だぜぇ! モフモフ無しの生活とか耐えられん! その分、食事の支度に手間がかかるのは仕方ない。モフモフのための必要経費と割り切ろう。
クレスはもとよりタルマは、俺とニルスの部屋を行ったり来たりしている。我が妹も子猫なタルマにご執心だからな。アレックス・・・・・・は長いからアレスと略した新顔は、ムスルとなんか仲がいい。時折、手を繋いで歩いている。BL的な関係になっていないと思いたい。俺がケモナーでないだけで、ムスルまでは分かんないからなぁ。健全であってほしいものだ。
実家の方へは、お肉を届けるついでにたまに顔を出してはいるが、相変わらずの両親と弟妹達である。実家のケットシーたちはケモノ臭いが、既に他の家のこと、風呂に漬けるなんてことはしていない。顔見せ程度にあいさつするだけだしな。実家にいるときは冬場の食糧に困っていたのだが、俺が定期的に肉を届けているからか、冬場でもなんだかふっくらしている。うん、健康なのはいいことだ。
そして今日も今日とて肉を狩る。冬場は獰猛な肉食獣が多いが、それだけ狩りにも困らないというものだ。基本的に小人族は、肉食獣にとってはか弱くて襲いやすい獲物みたいだからな。
今も頭上からユキヒョウに似たケモノから狙われている。殺気は隠してるが、ケモノ臭いんだよぉ~。臭いセンサーで位置はまるわかりだ。後は空気の流れで飛びかかってくる瞬間をつかむだけ。簡単な作業だな。
「うら~っ! 昇竜なんとか~!」
飛びかかってくる瞬間を捉えて、ジャンプしながらのアッパーをぶちかます。空中で避けられるのは格ゲーの住人だけだからな。普通の生物は、その瞬間が最大の武器でもあり最大の弱点でもある。こっちからしてみれば仕留めやすい最高の瞬間だな。
魔法適性の関係からか、炎をまといながらの昇竜なんとかは放てない。非常に残念だ。個人的には、黒髪の地味な格闘バカよりかは、金髪の派手派手格闘家のほうが好きなんだがなぁ。
俺の鍛えられたこぶしは一撃で顎を砕き頸椎をも粉砕する。
寒さに凍えて弱ってる感じに歩くのが、この手の動物に襲い掛かられるコツだね。
毛皮は敷物に、内臓は可食部のみ残して地面にあけた穴に。まぁ、肉食獣の内臓は寄生虫まみれだったりするから、大半は廃棄だけどな。それでも心臓とか食えたりするから食える部分は置いておく。肉も同じく寄生虫が多いが、内臓よりかはましだ。寄生虫も硬くて住み難い筋肉に移るよりも、柔らかい内臓のほうが栄養豊富で住みやすいだろうしな。
体重の数倍はあると思われる肉食獣も、今の俺なら何の問題もなく運搬できる。思えば強くなったものだ。目指すは竜殺し。っても格闘バカじゃないほうの竜な。単独での竜殺しができれば結構強くなったといえるだろう。
肉食獣を背負うと、さすがに他の獣は襲ってこない。ちとケモノ臭いが、これも立派なモフモフ、家に帰りつくまでに存分に堪能しておく。家に帰れば、獲物を木に吊るし、一気に捌いていくだけ。毛皮は模様が残るようになめして保管庫へ。ときおりニルスが持って行って毛皮のコートとか作ってるけど、現状は敷物以外に利用法がないから好きにさせてる。
肉は処理した直後は死後硬直で肉が固いため、一週間ほど寝かして熟成させる。川の下の一年を通して、冷凍にはならないがそれに近い室温の保管庫へ。その後に地表付近の冷凍室で凍らせ寄生虫を殺しておく。肉を冷凍できるのは冬場の今だけ。他の季節は熟成するだけにとどめている。
後は食べる直前に筋切りをして調味液をつけて、焼くか揚げて食べることになるだろう。煮物よりかは揚げた方が、皆が喜ぶ。今回も結構なお肉が取れたが、うちの食いしん坊たちにかかると、せいぜい3日分といったところだろうか。実家にも分けないといけないから、さらにかさは減る。
さて、今日の夕食は何にするかなぁ?
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