第18話
昼食の魚を食べる際、俺の使ってる箸を使いたいと言うので、使用法の説明をしてから昼食へ。不器用なりにもなんとか使えてた模様。一番最初は、グッと握ってぶっ刺してたので慌てて矯正させたわけだが。
午後からは、俺の鍛錬も含めてムスルを鍛える時間に。可愛い顔立ちはしててもムスルも男の子、俺と同様に強くなりたいそうだ。ニルスは家に残って掃除と洗濯。まだ食事の準備はできないが、徐々に覚えたいとは言っていた。母上様の姿を見て育ったからか、女性は家事をやるものだという認識らしい。まぁ、実家では父上様が料理担当だったわけだが。
午後はミッチリと修練をしたら、お風呂の時間。汗をかいた俺とムスルが先にお風呂へ。最初の頃に作った石鹸とは違い、今は固形タイプが完成し、香りも数種類用意してある。ムスルはヒノキのような木の香りが好みだし、俺はミントのような清涼感のある香りを好む。ニルスは華やかな香りを好むので、複数種類の石鹸を用意してある。
実家に居た時は濡らした布で身体を拭い、香水のようなものでごまかしていたので、風呂自体に入るのは今日が初めてだろう。風呂にはいるときの作法、湯船に浸かる前に身体を洗い、その後に湯船に浸かる用に教え込んだ。今は俺と一緒だが、その内に一人で入れるようにならないとな。
蔦を乾燥させて編み込んだタワシもどきを泡立て、ムスルの身体を洗っていく。ある程度洗い、水分を浸透させたところで、木のヘラの垢こすりで全身を擦り上げる。両の手のひらに乗るくらいの垢団子を削りだし、もう一度身体を洗ってやってから湯船につけてやる。垢こすりをするので染みないように少しぬるめの温度だが、人生初の入浴にあくびをしながらリラックスできてるようだ。
ムスルが終われば、次はニルスの番。初の入浴でフニャフニャになったムスルをリビングに戻し、ニルスを浴室へ。
見た目は超絶好みだが血の繋がった妹。しかも寸胴、お腹ぷっくり、ヒンヌーのお子様体形。うん、ピクリとも来ないわな。ナニがだって? ナニだろうねぇ?
ムスルと同じようにタワシで垢を柔らかくして、垢こすりで削ぎ落とす。ニルスは両手に余るくらいの垢団子をみて、女の子としてショックを受けた模様。まぁ、このあたりは仕方ない。人生初のお風呂だしなぁ。
石鹸だけで洗うと髪がきしむので、酢のようなものを使って軽く酢パックをしてニルスを湯船に投入。
ニルスが温めのお湯につかってまったりしてる間に、俺も手慣れた手付きですばやく身体を洗う。俺も垢こすりで削ぎ落とすも、小指の先ほどにも垢は出ない。そりゃ頻繁に入ってるからな。それを見てニルスはなんかむくれてた。『にぃにだけずるい』と。
機嫌を治すために二人で湯船に浸かり、ニルスが寝落ちしそうな状態になったので、酢の付いた髪を優しく洗い、水分を軽くとった上で花の香油で髪を漉き取り、その頃には完全に寝落ちしたニルスを抱きかかえて風呂から上がる。
先に上がったムスルは、リビングで丸くなって寝ていた。なんかカワイイ。そのままでは身体を悪くしそうなので、リビングの隣りにある俺の部屋に二人を寝かせて、部屋を温め俺も床についた。
翌朝、ほのかに香る自分達の身体に驚愕し、毎日風呂を入れることを約束されたのであった。
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