第15話
クレスが我が家に棲み着いてから生活が一変した、何より嬉しいのは食卓に肉が並ぶようになったことだ。肉は良いよなぁ。肉だよ、肉肉。昆虫よりも寄生虫の可能性が低いから、弟妹にも安心して食べさせられるというものだ。父上様は今までと変わらず一定量の昆虫は捕まえてくるが、違う味覚が増えたのは良いことだ。
そして、クレスを師匠として肉体改造の日々が始まった。今までは食事量が足らずに肉体改造に着手できなかったんだよな。筋肉は適切なタンパク質を補充しないと、逆にやせ細るからなぁ。
大きな木の間を起点とした短距離ダッシュ。木の根元からスタートし、反対側の木にめがけてスライディング、その後、身体の向きをかえてまた短距離ダッシュ。これを体力が尽きるまで。
またある時は、岩の形を身体の大きさに合わせて固めて、その中にはまり込み、筋肉に力を入れることで瞬発力的な筋肉を鍛える鍛錬法。
また次の日は、延々と長距離の走り込みと、色々できることが増えた。幼い小人族ゆえの身の危険は、クレスにボディーガードを頼むことで解決。
襲いやすそうな小人族の幼子が一人で出歩くことで、当然俺も狙われるが、そのすべてをクレスが撃退。結果、食卓に登るお肉が増えるという算段。うん、あれだ、俺を囮にした食料調達法でもあるんだなこれが。
そんな身体を鍛える生活が数年続き、小人族では一人前とされる10くらいの年を迎えた。
んで、意外と物知りなクレスに聞いた所、小人族の平均寿命は300~400年くらいと結構な長寿らしい。早熟なのは、身体が小さいゆえに早く成長しないと外敵に襲われるからだろうし、身体が小さいから消費も少なく長寿命なんだろうな・・・・・・と、思われる。ケットシーはどれくらい生きるんだ? と聞いた所、『乙女に聞くことじゃにゃいにゃ』とか言って断られた。どこをもって乙女と言いはるんだ? と聞きたいところだが。クレスの歳が知りたいんじゃなく、ケットシーの平均寿命を聞いただけなんだがなぁ。
小人族は、自活できると両親が判断するまでは両親のもとで暮らすが、自活能力があると判断されれば、家を出ることができる。俺も問題なく土魔法を修めているし、戦闘力もここ数年で飛躍的にUPした。そのへんの肉食動物くらいならワンパンだしな。もっともっと鍛えて、いずれは世界サイキョー。いずれ神界にお邪魔して、そしてあのポンコツなカミサンをひっぱたく! それが俺の目標だ。それまで止まる気はねぇ。
俺が家を出るにあたって、すぐ下の弟と、そのまたひとつ下の妹が俺についてくることになった。寄生虫にやられないように、蝶よ花よと育てた二人だから、致し方ないのかもしれないが。
当然その下にも弟妹は居るが、肉食を始めたあたりの弟妹なので、二人よりも当然身体は大きい。それが少しコンプレックスになってるようにも見受けられる。俺から言わせてもらえば、誤差の範囲内なんだよな。元から身体が小さいし。
弟は母親似で、透き通るような青い瞳にふわっとした猫毛の金髪、ぷくっとしたほっぺにキュッと引き締められた口元。ビスクドール的な容姿を持った、男の俺から見ても美幼児な8歳くらいの男の子。名前はムスル。
妹は父親似で、真っ黒な瞳に眉の上でパッツンにした艷やかな黒髪ストレート、プニッとしたほっぺに母親譲りのプニッとした唇、日本人形的な可愛らしさを持った、めっちゃ俺好みの美幼女な7歳位の女の子。名前はニルス。
あ、ちなみに俺の今世の名前はタクルという。多分だが、蒸す、煮る、炊くなんじゃないかと思う。基本的に食いしん坊な一族っぽいからなぁ。ちなみに父上様がヤキル、母上様がムスリだったりするので、うちの家族だけじゃなく一族全体がそんな名前なんだと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます