第11話
風呂に入るにあたり、熱源としての火魔法は使えない。風で摩擦熱を起こすこともできない。ならばどうするか?
俺が導き出した答えは、土魔法を応用するというものだった。
熱いものと連想するにあたり、火そのものやお湯、そしてマグマなどが思い起こされると思う。俺はそのマグマに着目した。本来なら火のない地下で、岩と岩をこすり合わされて発生されるとされるマグマ。これなら可能なんじゃね? と。
最初は岩と岩をこすり合わせて熱量を高めようとしたが、やたらと疲れる。確かに不可能ではないが、体内にあるかどうかはわからないが、魔力っぽいナニカがごっそりと奪われるような気がする。
このやり方は現実的ではないとほかの方法を模索することにした。
そこで岩を練ってみたらどうだろうという結論にたどり着いた。そう、針金などを同じ個所で曲げ曲げすると熱を発生させるというアレだ。あの現象を岩で行えば熱が生じるんじゃね? と。
結果、大成功と言わざるを得ないだろう。最初は手に持って試していたため、危うく大やけどをするところであった。
そして、ついに土魔法を使って河原にあった大きな岩で湯船を作り、温めた岩でお風呂に入ることに成功したのだ! 土魔法なんだから土から作らないのかって? 岩を粘土みたいに柔らかくデキるなら、岩で作るっしょ。使用したら崩すわけじゃないしな。
今はまだ俺の魔法も物足らないレベルであるが、風呂に入るくらいならこの程度で十分。そして足らない技術ならば鍛えてモノにすればいいだけなのだ! 一度方向性が決まれば、後は鍛錬あるのみ。ひたすら岩をコネコネする毎日が始まった。どうすれば労力が少なく効率的にコネられるかを。
「こねこねこねこねこね」
独りでいる期間が長いと独り言が増える・・・・・・とは言われてるが、俺も例外なくその傾向にあるようだ。独りだから気にしない。うん、気にならないよ! こんちくしょうめっ! ボッチで悪いかっつ~の。
その日も独り外で、『こねこね』言いながら岩を練っているとそいつに出会った。そう、出会ってしまったのだ。
「んにゃ? 呼んだかにゃ?」
そう声をかけてきたのは、二足歩行をする猫・・・・・・以外の言葉が見つからない存在であった。
なんだコイツは? と一人驚愕していると、そいつはさらにこうのたまっていた。
「ここ最近、ここらでネコネコと言ってるやつがいると聞いたにょで来てみたにゃ。あちしに用があるんじゃにゃいにょかにゃ?」
なんだか、にゃこにゃこと聞き取りずらいが、とりあえず会話は成立するようだ。
コネコネを連呼すると確かにネコネコに近い言葉になるかな? 仮にそうだとしてもこんな変な奴を呼んだ覚えはない。俺が待ち望んだモフモフではあるが、今は忙しい。もう少し生活が安定してから迎え入れたいので、いや、用は無いから。と追い返そうとしたが。
「あんたからにゃんだか良い匂いがするにゃ。」
とか言いながら、そいつはいきなり抱き着いてきた。
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