第9話
それから数年が過ぎ、俺も5歳くらいになった。そして、さらに上の兄妹が一人ずつ亡くなった。この世界、成人するまでに死亡する率がとても高いらしく、うちの両親は特に気にもして無いようだった。『あぁ、また死んじゃったか』くらいのもので、特に感傷は無いように思える。慣れというか習慣とは恐ろしい。だからこその子沢山なんだろうな。
俺の下にも弟と妹が一人ずつ生まれている。上の兄妹はすでに寄生虫が体内にびっしりかもしれないので諦めてしまったが、下の弟妹だけは何とか守らんと食生活から普段の生活にまで気を配っている。
この過酷な世界で生き残るには地力を高めるしかない、走り回れる年齢になった時くらいから修練は始めている。ときおり乳幼児から身体を鍛えるというラノベ物もあるが、あれはチート持ちじゃないと無理だろうな・・・・・・と、いうのが俺の見解である。どんなに頑張っても寝返りとかはそうそうできないし、どんなに頑張ってもよく乳幼児がやる、仰向けになったまま『あう~あう~』と手足をピコピコと動かすことしかできない。うん、こりゃ無理だとそうそうに諦めたものだ。
しかし、この世界は魔法があるというではないか。あのポンコツなカミサンは魔法の才能もくれたらしいしな、と、頑張ってみたのだが、形になったのは3歳くらいの頃で、それまでは何も感じられないという体たらく。才能がないんじゃなく、努力が足らなかったのだと思いたい。
うちの父上様は夜中に母上様に通うとき以外は寡黙な存在で、よくわからない存在でもある。だが、6歳くらいから食事のための昆虫捕りに同行させられるようになった。上の兄がみな死んでしまって、働ける男が俺だけになったのも大きいけどな。
外の世界は何というか、縮尺が大きかった。だが、縮尺比から言うと、小人といっても身長が100~120位の小人であり、人間から見て手のひらサイズの小人ではないのではないかと思ったりもした。この世界の木々が前の世界の木々と同じような縮尺であるならば・・・・・・と、いう見解の元ではあるのだが。
そして我が家は、高い岩山の隙間に入口があり、その奥の比較的柔らかい土を、魔法で掘ったものなんだということが分かった。うちの父上様は、土系魔法を修めているらしい。入口は頑丈かつ分厚い岩で守られてるため、我が家に侵入できる外敵は居なさそうにも思える。それでも用心のためか、同じ道は通らず、狩場までと帰宅時は毎回道を変えるという用心っぷりであった。
我が家のある岩山から少し下った場所に、大きな草原と思われるものがあり、そこが昆虫の住処でもあり狩場でもあった。
なんでも、ここら一帯は山の上で、大きな動物は生息していないんだとか。だから冬場は凍えるように寒いと。
そんな環境でも昆虫や小動物を食べる、小型の肉食動物は居るので気を抜くな、という事でもあった。
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