第3話

 次に目が覚めたというか、意識がはっきりしたとき、そこは真っ白な世界だった。上下左右どちらを向いても真っ白け。

 これはあれか? ラノベでよく見るあの世界か? そう意識した瞬間、目の前に髭を長く伸ばしたジジィが、右目をつむり。左手でピースにした指を左目の前にかざし、いかにもテヘペロってな感じでチロリと舌を出していた。俺が思わずグーパンをしようとしても致し方ないことではなかろうか?

 しかしジジィは、ひらりと身をかわすと


「いきなり何するの!?」


 と、妙に甲高い声でのたまっていた。ジジィの見た目に甲高い声は妙にしゃくに障る。踏み込んでもう一発お見舞いしようと考えると、光のきらめきを残してその場から消失した。

 ふむ。あれが神的な存在だとすると思考が読めるわけか。だからといって、あれは挑発にも匹敵する。攻撃されても仕方ないだろう。


「もう、今回の人は物騒だなぁ」


 視線をそらした瞬間、今までいなかった場所に絶世の美女に見えるナニカが、『もう怒ったぞ! プンプン』と、言わんばかりの表情をこちらに向けていた。うん、イラッとして殴ろうとしても仕方のない所ではなかろうか?

 殴ろうと意識した瞬間、後ろに姿を現したが、相手が神的なナニカならそんなこともできるだろう、と、気にせず裏拳をお見舞いしようとしたところで、身体の自由を拘束される。


「話が進まないから拘束させてもらうね」


 話を進めようとしてないのはお前の方だ。ジジィのあれは凶器だ、いや、存在そのものが犯罪だ。


「え? あれ? ジジィってナニ?」


 お前の最初の姿だろうが? あんな姿であんなことされたら、流石に温厚な俺もぶち切れるぞ?


「え? 温厚? いやいや、メッチャメチャ手が早いじゃん! ちょっと場を和ませようとしただけなのに」


 そんな事は無い。相手を選ぶだけだ。


「はぁ、もういいよ。それよりも、キミの中では、創造神っていうとお爺さんの姿なんだ?」


 そりゃ長く生きてるならジジィかバァさんだろう? バァさんの姿で出てきて同じことをやったとしたら・・・・・・指をさして腹の底から笑い飛ばしたかもだけどな。   


「はぁ、そうなんだ。なんでこの人が選ばれたんだろう? まぁいいか。ボクたちには実体がないからね。その人のイメージで姿が変わるんだよ」


 今の姿は、俺の創造神のイメージ外なんだが?


「そこはそれ。普通の人は創造神といえば女神を想像するらしいよ! よく知らないけども」


 そんなアレな思考は知らんな。


「そりゃアレかもしれないけどもさ。おっかしいなぁ、今までの判断基準じゃないのかなぁ? スカウト神は何やってるのさ」


 スカウト神?


「あ、ヤバっ! 今のはオフレコで」


 妙に俗っぽいが、本当に神なのか? カミサンというオチじゃなくて?


「そんなオチは無いよ!」


 んで、俺はあの時死んだんだろうが、なんで俺をこの場に呼んだんだ?

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