第弐話 彼は松下長則さま

「猿ー、何処だ猿ー」


「もう、長則さまっ、猿じゃないですぅ」


猿、猿と呼ぶのはワタシを拾ってくれた、長則さま。おっぱい大好きなこの屋敷の主さまだって。


ワタシ、そんなに猿っぽいのかしら?化粧すればそれなりに、って思うんだけど。化粧しようとするけど、長則さまが匂いを嫌がるから今はすっぴん。


「で、何かご用ですか?」


長則さまに近付くと、相手の腕に腕を絡ませ、大好きであろう胸を押し付ける。チラチラ胸を見るのはいつもの事。


「いや、用という用はないが、猿が不自由してないか気になってな」


「だから、猿じゃないんですぅ、もうっ、長則さまったら」


相手に胸を押し付け、甘えた様な声を出した。猿、猿、って言う割には私をすごーく気に入ってくれてるのよね、ワタシの胸がそんなに好きなのかしら、長則さまは。


何かと屋敷の主はワタシを気にして、会いに来てくれるんだけれど、一応、奉公っていう名目があるから周りからは余り良く思われてないのよね、主である長則さまがかなり良くしてくれてるから、虐められてはないけど妬みは凄い。


ま、トリップする前も同じ様な事はあったけれど、ワタシは気にしませーん。気に入ってくれてる人も多かったし。主に男性だけれど!


「なぁ、猿…今夜も…」


気まずそうな、困惑したような表情で、物思いに耽っていたワタシに長則さまが声をかけた。


長則さまの言葉に、ワタシは妖艶な笑みを向け、腕に回す腕の力を込めて見上げる。


「ふふ、良いですよ。今夜も」


紡がれた言葉に拒否はなく、ワタシは頷いた。


拾ってくれてから数日、ワタシと長則さまは夜にある事をする。ふふ、解るでしょ?大人なら夜に行う、アレよアレ。


エッチ。


と、言っても長則さまとワタシのエッチは挿入はなしだけれど。


「猿…っ、ん、猿っ…」


「んぅ、ぁん、長則さ、まァ、ほんと、好きですね?ん、ん、んっ」


長則さまの好きと言えばおっぱい、夜に行う行為は長則さまがワタシの胸に顔を埋めて尖る突起に吸い付く行為。


猿とワタシを呼ぶ長則さまが、胸に吸い付く。相手が舌先を使って尖る突起を舐めると、唇からは思わず甘い声が上がった。


猿とワタシを呼ぶけれど、吸い付く姿は長則さまの方が猿の様に盛って見える。


気持ちイイのはイイんだけれど、やっぱり挿入されたーい。でも長則さまは胸にしか興味がないみたい、毎夜毎夜、欲求不満になっちゃうんですけど!


だからね、ワタシは考え付いたの。


胸に吸い付く長則様の頭を撫でつつ、目線を襖の方へ向ける。


知ってるの、毎日毎日、ワタシを見ているその目は長則さまにそっくりよ。


ふふ、次は貴方よ、松下之綱さま。

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