お金があればよかったの?
私が何か欲しいものがあった時、
お金が無いからと、
無駄使いしちゃダメだよと言われたから、
私は買わなかった。
自分の持てる範囲で無駄の無いように。
あなたがそれを持った分、誰かが持てなくなっている。
あなたがそれを買ったら、誰かが買えなくなっているかもしれない。
そういう時もあったし、別の言葉を言う時もあった。
あなたがそれを買わなかったら、誰も買ってくれないかもしれない。
あなたがそれを買わなかったら、誰かがそれを欲しがることも無いかもしれない。
あなたがそれを買わなかったから、家に帰っても何も変わらなかった。
物を買えばそれを置かないといけない。
物を買えばそれを置く代わりに何かを捨てないといけない。
物を買うことは生命の営みのように強要されているけれど
それは必然なのだろうか
買わずに生きることが出来るならその方が良いのか
買うことで自分が楽できるならそれはそれでよいのではないだろうか
どうして買うの?
どうして買わないの?
それは必要なの?
どうして要らないの?
堂々巡りの質問を繰り返して私はお金が嫌いになる。
金属の色をした硬貨。
私の手の中でアルミ、銅、銀、真鍮、金、といろんな色を主張をしているはず。
どれだけ握ろうとも形が変わることは無い。
私の力で捻じ曲げられるような価値観ではない。
お札になればくしゃくしゃと握り潰せるだろう。
それで私は満足しているのか。
お札に書かれたくしゃくしゃになった絵を見て私は何を感じるのか。
この紙切れに一体何を求めているのか。
どうしてこの紙切れのために私はこんなに考えているのか。
こうしてどれだけくしゃくしゃにして踏みつけたとしても、お札に描かれた絵が見る限りお金としての価値観は変わらない。
どれだけ睨みつけようとも私の手からするりと抜けていく。欲しい人はいくらでもいるのだろう。
お金がもっとあればよかったの?
みんなお金を持っていればよかったの?
私の持っているお金を上げたらよかったの?
灰色のお金でも誰かしら受け取ってくれるの?
私は灰色のご飯を食べるために灰色のお金を使う
灰色の水を飲むために灰色のお金を使う
灰色の生活を送るために、灰色のお金が必要で
私がどれだけ息苦しく感じていても、
灰色のお金を使わずに生きるすべを知らなくて、
灰色のお金を使う生活に慣れきって、
灰色であることを言い訳にして灰色の生活を送り続けていた。
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