手を見る

 私の手は何のためにあるのか

 物を掴み運び投げ繋ぐ

 どれだけの動作を覚えても

 それがどれだけの役に立つだろうか


 私の手は何のためにある

 私の手で誰が救えるだろうか

 私の手は私のためにあって

 私の手は私を支えてくれている


 私は自分の孤独さに辟易して

 自分自身を陥れる

 自分の心が醜いと自分自身に語り掛け

 自分の心を傷つける

 辛い辛いと叫んでも

 それは自分の耳にしか入らない


 誰も他人の傷を知りたくない

 自分の抱えるものを差し出して

 利他的な行動は身を亡ぼすと

 それは物語の世界でしか無いと

 そう思って涙する


 私の手では誰かの涙は拭えない

 拭いたくとも流れる涙が手の前には無い

 それは押し付けの優しさで

 独りよがりの偽善と知る


 ただ自分の涙は拭えるだろう

 いつまでも流れる自分の涙は

 自分で拭うしか無く

 誰かに拭われることも

 目の前に誰かの手があることも無い


 灰色に染まった手には灰色しかない

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