第7話「ママさんヒーロー活動に巻き込まれる(前編)」
俺、ふしま。太ったしましまの猫だから「ふしま」だ。
現在
「ヒロム!お友達のシンジロウ君のご両親に迷惑かけないようにね。
ほら、ふしまもバイバーイって!」
そう言って、ママさんは俺の左腕をとってバイバイの格好をさせる。
そしてヒロムを乗せた小型バスが去っていくとママさんは
しょんぼりした顔で俺を抱いたまま階段に座り込んだ。
「あーあ。パパは出張で3泊4日だし、ヒロムはお友達と旅館にお泊まりだし、
これからふしまと二人だけ…さみしいね。ふしま。」
そう言って、ママさんは俺の頭にふこっとあごを乗せる。
「ママもどこかに行きたいなあ。海外とかー、船旅とかー。」
その瞬間、波しぶきが顔にかかる。遠くには巨大な船が見えており、
気がつけば、俺とママさんは海の上でモーターボートに乗っていた。
「ちょっと、Mr.ポーター!一般人がついてきちゃってるわよ!」
モーターボートを運転しているのは顔が片手鍋の女性。
ヒーロー協議会の派遣ヒーローで名前はMs.ポットだったか
…助手席には渋い顔をした爺さんのMr.ポーターがいる。
「うむ、タイミングを誤ってしまったようじゃ。すまんなMr.ビームくん。」
その言葉にママさんはきょとんとする「ええっと、これは一体…。」
だが次の瞬間、有無を言わせずMs.ポットが自身の頭部を変化させた注射針を
ママさんの頸部につきたてた、「グエッ」と言って椅子に倒れるママさん。
俺も両手でがっちりホールドされているので、そのまま横倒しになる。
「これで当面は大丈夫よ。」
何が大丈夫かはさっぱりわからないが、Ms.ポットは額の汗を拭いてこう続ける。
「Mr.ビーム。今回のミッションは戦艦で作られた人工ゾンビを退治するのが
目的よ。船内のワクチンを手に入れるまでビームで外部破壊はできない。
幸い今回はMr.シーカーが体を張って内部に潜入しているから移動は可能よ。
三人と一匹でこの状況を打破していきましょう。」
そこで不意にママさんがゆらりと起き上がりMs.ポットにMr.ポーターがたずねる
「…ところで、一体何を打ったんだい?」それに対しMs.ポットはこう答えた。
「強化薬、身体的能力を最大値まで引き上げるわ。副作用で記憶が飛ぶけど。」
「うおおおおおおお!」その瞬間、ママさんが咆哮した。
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