第7話 決戦の朝

 その日は晴天であった。雲一つなく真っ青に晴れた清々しい空であった。昔の人は決戦の日に晴天なれど波高しと書き残したというが僕の心境はまさにそれであった。

超えるべき波も高いしね。

「よし来たな!…ちゃんと一人で来たよな?」

「大丈夫、今日は委員会で早く出るって言って来たから」

「なら大丈夫か。さて、作戦を伝えるぞ。俺はあらかじめあいつの靴箱に手紙を入れておいた内容は単純に放課後、教室に来てほしいとだけ書いたやつだ」

 後はお前次第だと明は男子更衣室と札のついた鍵を渡して学校に入っていた。着替えに使えってことかな?

「次は私ね、これ頼まれてた化粧道具と服。がんばってね」

 頻繁に一龍が出入りする僕の部屋に化粧道具や女性ものの服を置いておくわけにはいかなかったために理子に預かって貰ったものを受け取る。僕自身女装と言っても中性的な服を着て、髪形をそれっぽくしただけの人によっては認められない程度の事しかして来なかったので化粧を含め本格的なものは初めてだ。

「教えられることは全部教えたけど、もし不安になったら頼って」

「ありがとう、大丈夫。これは僕の戦いなんだ自分の力で何とかしてみせるよ!」

「これから女の子になろうって男の子の台詞じゃないわね…ちょっとかっこいいよ」

 微笑を浮かべて彼女は去っていった。かっこいいといいながら可愛いと思われてたかも、普段なら眉をひそめるとことだけど今はうれしい。

「唯和じゃないか。どうしたんだ、委員会で早く行くって言ってたのに何で玄関に」

「なんでもないよ!ちょっと考え事としながら来たら遅くなっただけ!じゃあ行くから!」

 怪しまれたかも?

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