第1話 登校
空気は澄み小鳥が囀り、太陽が元気に輝く休日明けの月曜日には嫌味なほどに清々しい朝だ。こんな日は外に出ずベットに潜り込んでいたいが健全な学生である僕たちにはできない事だ。
「おはよう!」
「おはよう、今朝も元気だな」
「それだけが取り柄だからね」
毎朝、決まった時間、通学路の途中で出会う彼とは幼馴染で家が近いことと両親が友人であることなどから仲良くさせてもらっている一番の親友だ。そして数日前から僕の最も好きな人でもある。
「昨日さ、街に買い物に行ったんだけどよ」
「うん」
「ナンパされてた女の子がいたんだけどさ」
「それで」
「困っていたようだし、助けたんだけどな。すごいかわいい子でな」
うん、ごめん。それ多分ぼくだ。なんて言えるはずもなく淡々と話をつづけるけど、なんかむかつく。
「よかったね、かわいい子で」
「なんでちょっと起こってるんだよ」
「なんでもっ!」
普段の僕にはかわいいの一つも言わないのに。ちょっと違う場所で会ったくらいで言うなんて。うれしいと思う一方で僕が何とも思われていないような感じがした。ちょっと憂鬱。男の友人にかわいいなんて言うやつの方が少ないのは分かってるんだけどね。
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