第7話 いきなり喰らいマックスッ


 なんか作者は疲れ狂っていたみたいです。


 なぜこんな話を書いたのか……大変品の無い表現があります。


 お食事中の方や、品の無い表現が苦手な方は読み飛ばしをお勧めします。


 慰めのコメントや、フォローや☆を頂ければ作者は(多分)喜びまともになります。








――――――――――――――――――――――――――――――――――













「……すごいです……渉さん……」


 聖母神おかんアルテは、口に手を当て歓喜の涙を流す。


 渉は盆踊りを踊っただけだが、実は一緒に踊っている魔物達は、本来ならば凶悪な魔物達なのだ。




 魔王グラトルの元に行くためには、当然外界、奈落樹海、魔境と厳しい環境を抜けていかなければいけない。


 その間、過酷な生存競争に明け暮れる魔物達が一度も襲撃しなかったかというと、当然そんなことは有り得ない。


 事実、アルテが幾度となく介入しても、グラトルの元に着くまでに、少なくとも4000人の死傷者が出ている。


 そして、グラトルの元から逃れた軍が全員無事だったかというと、それも否だ。


 まずグラトルの攻撃による負傷者は、ほぼ全員と言ってもいい……そして、即死は免れたものの、撤退途中で命を落とした者、魔物に襲われた者、街に着いてから亡くなった者、更には心を病んで自ら死を選ぶ者など、多くの死者が出た。


 特にコーラスロックと出会った部隊は、ほぼ全滅である。

 おかしな話ではない。

 全異常状態耐性を持っていた渉ですら、内から湧き出る衝動に逆らえずに盆踊りをする羽目になったのである。


 なんの耐性も持たないただの人間の手練れが、彼らのスキルに抵抗できるはずもなく、その場で体の自由を奪われた。


 そんな彼らを、魔境の凶悪な魔物達が放っておくわけもなく、彼らはなす術なく捕食された。


 その凶悪な魔物達の中には当然ワイバーンなども含まれる。







 だが、渉は違った。


 ファイヤーゴブリン、ラリアットエイプ、コーラスロックを相手に、殺し合いではなく、相手の命を奪わずに勝つと言うことを念頭に戦っていたのである。


 そして、ファイヤーゴブリンやラリアットエイプを仲間に引き入れ、更にはコーラスロックの歌を最後まで……それこそ何日間も聞き続け、なんと魔境中の岩系魔物ですら仲間に引き入れたのである。


 その結果、ワイバーンはこの大陸を去り、他の凶悪な魔物達も彼らから躊躇なく逃げて距離を取った。


 その恩恵として、魔王討伐軍は、疲労こそあるものの、誰一人欠けることなく魔境の最奥に辿り着いたのである。


「渉さん……ありがとうございます……」


 もしかしたら本当に人類を救えるかもしれない……幾億回、幾億年と続けてきた絶望の蔓延る戦いで、初の勝利を手に出来るかもしれない……


「渉さん……なんとお礼を言っていいか……」


 そして、聖母神おかんは今日も有難迷惑ないらん事をする。
















――――――――――――――――――――――――――――







「報告いたします!!!」


「お願いします」


 討伐軍の首脳たちが揃う天幕へ、斥候に出ていた兵が重大な情報を持ち帰った。






「魔物の大軍が、一人の青年……目はよく見えませんでしたが、黒髪の青年を追いかけていました……」


「なっ?!」


(勇者様が?!)


 


 以前の討伐軍は、ただグラトルを討つためだけに軍を派遣した。


 しかし、今回は違う……新たに一つの任務が追加されたのだ。


 それは数か月前、時をさかのぼって神託の聖女アルトリアに、アルテが神託を与えた。

 

『黒髪黒目の勇者と共に、人類を救いなさい』


 その内容に、ファースに住む人類たちは驚愕した。


 それと同時に希望を持った。

 この絶望的な状況から抜け出せるかもしれない……そして、勇者はあの危険なグラトルの縄張りに居るらしい……彼を助け、グラトルを討つ!


 知る由もないが、今までと違う行動を、彼等は取り続けた。




 そして、いよいよグラトルの元まで3日というところで、その報告がなされたのである。


「詳しく説明しなさい」


「はっ……私が確認した限り、勇者様と目される方は大怪我をなさっていた可能性があります……」


「っ?!」


「魔物達に追われている最中、必死に距離を取ろうとしてらっしゃいましたが、真っ直ぐ歩けない様子で、緩慢な動作で両腕を振るって、魔物に近づくなと……もはや悪あがきともいえるような行動をとっていました……」


 勿論ただの盆踊りである。

 くるっと回って、エイやエイやと踊っていただけである。


「魔物達もっ……そんな勇者様を甚振る様に、嘲笑しながらゆっくりとあの方に迫っていましたっ……」


 勿論誤解である。

 渉達は皆全力で楽しんでいただけである。


「……魔物の数、そして種類は?」


「……ファイヤーゴブリン、ラリアットエイプ、そして……1000にも届こうという数のロックロックでした……」


「?!」


 キャロルたちは……勇者の死を悟った……それと同時に納得した。


 彼らが魔境に入ってから、一度として魔物と遭遇していないのだ。


 つまり……勇者が、たった一人で、魔物を引き付けているっ!?


「そ……そんな……」


 キャロルは涙を流す……


「まさしく……勇者だ……」


 一つの部隊を率いる隊長達も、勇者の勇者たる行動に、感動の涙を流す……


「こんなお膳立てされちゃあよ、俺らは絶対にグラトルを討たなきゃな……勇者が浮かばれねぇよ……」


 英雄と呼ばれる凄腕の冒険者、ブライも、姿すら見たことのない男を称える……


「皆の者、聞きなさい……勇者様がその命を呈してまで、私達に下さった絶好の機会です。

 ここまでの消耗は皆無……万全の態勢でグラトルに挑めますっ!!

 

 貴方達は勇者様のこの行動をどう思いますかっ?!


 我々と違い、たった一人で人類の未来を切り開こうとした……かの偉人の思いをっ、無駄にする訳にはまいりませんっ!!


 必ず我々の手でグラトルを討ち取りっ!

 勇者様の勇気ある行動に報いるのですっ!!!!」


『おおおおおおおおおおおおうぅっ!!!!!!!!!』


 討伐軍の士気は爆上がりである。


 ロックロック……1体1体が少なくとも戦闘力5万を超え、尚且つこちらの行動を縛るスキルを持つ凶悪な魔物……


 それを1000体近くも相手にしている……


 彼らは誰一人として、勇者の命があるとは思えなかった。





 だが、それは幸運かもしれない。


 万が一、ゆうしゃの命が助かる見込みがあれば、キャロルは救助しに駆け付けたであろう。


 そして、日本人としての前世を持つ彼女ならば、渉がただ魔物達と楽しく踊っているだけだと気付き、討伐軍の士気はダダ下がりだった……、いや、むしろマイナスに陥り、逃亡者も出てきたかもしれない……


 斥候兵も、余りにもな状況に、ファイヤーゴブリンやラリアットエイプが渉と同じ動きをしていることに気づかなかった。


 知らず知らずのうちに、誤報を伝えたこの異文化に理解の無かった斥候兵こそが、この戦いの英雄と呼べるかもしれない……


『全軍、グラトルを目指しっ、出撃!!!!』


『うおおおおおおおおおおおっ!!!!!』


 こうして、渉と合流することなく討伐軍はグラトルの元に向かった。







―――――――――――――――――――――――――――――



「ここからは俺一人で行くよ」


「??!」


 俺に付いて来てくれた魔物ともたちは、驚愕の表情で俺を見ている。


「お前達には、グラトルとの戦いの際、誰も決戦の場に近づけないでほしい」


 彼らは渋ったが、もはや莫逆の友となった魔物なかまたちが傷つく姿など、見たくはないと渉は思っていた。


 そして、無事に帰ることを約束し、後を魔物達に任せて、決戦の場に着いたのである。





「デケェ……」


 グラトルは……小山と見間違うほどの巨体を誇っていた。


 そして……


「あいつ……俺より強くねぇ?」






魔王グラトル


 戦闘力239500



半藤渉ばんどう わたる


 戦闘力176000




 今、渉はグラトル達を見下ろせる崖の上に、身をかがめて様子を見ていた。


「あいつ……楽しんでやがるのか?」


 見てみると、明らかにグラトルは何をするんだろうという『興味』しか持っておらず、人類の悲壮な覚悟を、ただのショーか何かと勘違いしているのではないか……


「なんて嫌なやつだよ……」








 ごそっ



 そんな渉の背後で、一人の男が姿を隠して彼に近づく。











――――――――――――――――――――――――――――



(駄目だ……今日も見つからなかった……)


 その男は、何よりも求めているモノがあった……


(もう数年も触っていない。

 これ以上触れることすら出来なかったら俺は狂ってしまうだろう……)


 自らのモノに触れて紛らわしていたが、それも限界だ……




 昔……彼はとある泉で一人の女性と出会った。


「ぷはっ、おいしいぃ!」


 

 美しい女性だった。

 長い紅い髪に、抜群のプロポーションをした女性だ。

 彼女は前かがみになって泉の水を飲み、輝かんばかりの笑顔になっていた。


 だが、彼が注目したのはそこではなかった。


(なんだあの( 三 )パツンパツン具合は……)


 そう、彼が目を離せなかったのは、その臀部である。


 安産型……とでも言えばいいのか、とても丸みを帯びたモノだった。

 そして何より、その臀部でパツンパツンになるスカート……布が伸びすぎて、逆にシワが出来ていた。

 そのあまりの神秘張りに、思わず吸い寄せられた……


「誰っ?!」


 びくっ?!


 だが、直前に気付かれ、彼は一目散に逃げた。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 奇麗な尻だった……魅力的な尻だった……彼は尻の魅力に囚われた……


「ああああああああっ♂」

「ギャアアアアアアア?!」

「ボワア――――――?!」


 それから彼は、あの時の感動をもう一度味わいたいと、種族性別問わず尻を求めた。


 来る日も来る日も、理想を求めてさ迷う……次の日、その次の日……明日こそは……



「ほわああああああああっ♂」

「アンギャアアアアアアア?!」

「グワア――――――?!」


 ただただ純粋に求めるうちに彼は、どんなターゲットでも、気付かれずに背後に回れるようになる。


 純粋に求める故に寄り道が無く、純粋故にただただ明日assを求める。



 来る日も来る日も来る日も、ただ求めて求めて求めて、今日がダメなら明日assこそは明日assこそは明日assこそは……


 ただただ一つの事を求める男は、いつしか精霊へとなっていた。


 精霊とは純粋な魂のみが成れる!

 彼はあまりにも欲望に忠実純粋だった……


 ただ明日assの為に、手を伸ばし続け……いつしかグラトルでさえ、尻のガードを固めていた。


 そして、魔境に住んで居た尻を持つ魔物達は、彼に背後を取られ続け、いつしかこの地域を去って行った……この中にはオークなどの獰猛な種族も居たが、厳しい♂環境に耐えられなかったのである。


 こうして、精霊であった彼は、人類への脅威を知らず知らずのうちに、減らしたことにより、聖霊じんるいのしゅごしゃへと至る。



 彼は今日も今日とて尻を求める……


(いた、女だ……)


 あの理想のおんなとは違うが、良い音色を奏でてくれそうな女だ。


 しかし……


(駄目だ……誰もかれもが鎧で固めている……)


 そう、討伐軍は全身鎧を着て、グラトルに挑むつもりなのである。


 ほんの少しでも生き残る可能性を上げるため、全員鎧を着用す防御を固める。


 それが彼らのを守った。



(あれでは……萌えない……)


 彼のポリシーは指先一つで、良い音色鳴き声を奏でることだ……鎧を着こんで居たらとてもではないが、奏でることは出来ないだろう……


 いつの間にか、この魔境には岩系魔物尻の無い奴で溢れていた……


(今日もダメか……これで数年は奏でていない……また明日ass……)


 諦めかけていた彼は、気付く。


(まだ、もう一人いる?!)


 彼は急いで現場に急行した。






「デケェ……」


 そんなことを呟く存在……男だが構わない。


 数年間求め続けた無防備な尻が目の前にある?!




 最早その男はなりふり構わず、明日assに手を伸ばす。


「ゴブゥ(〇×▽■●÷△◇アビス・レイ)」

(注 全年齢作品に相応しくない表現がございましたので、自主規制しました)




 彼こそは性霊にして聖霊……


 最恐にして最狂……


 世界最強のゴブリン


 ア○○ゴブリン……通称アナゴさんである。



 










 ア○○ゴブリン


 戦闘力118700












――――――――――――――――――――――――――――



「ゴブゥ」



 グラトル達の動向に気を配っていた時に、そんな呟きと共に凄まじい衝撃が体内を駆け巡る……


ブスッ


「っ~~~~~~?!?!?!?!」


 人生最大クラスの衝撃だ。


 唇を噛んで耐えるが、一瞬たりとも我慢できずに吠えてしまった。









「ファアアアアッーーーーーーーーー♂」






 人類の存亡をかけた戦いの直前……


 何とも汚らしい絵面ばめんであった。



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