七日目の証人
まず
だがこころは一年生ということもあり、二年生である誠は苦戦した。一年生に知り合いらしい知り合いもいなかったために、お昼休みや放課後を利用し、こころが所属する一年A組を訪れ、手あたり次第にこころの友人関係について聞いて回った。
だが、突然現れ、入院しているクラスメイトの友人関係について質問する誠に対し、一年A組の生徒が不信感を募らせたのは言うまでもない。ある者はシラを切り、ある者は知らないと嘘を言い、ある者は先生呼びますよ、という言葉を放った。さらに誠の訪ね方も不味かった。
「おっぱいを守るために、雨宮さんの友達を教えて欲しい」
誠がそんな聞き方をするものだから、一年生の間では「二年生の天道とかいう先輩はおっぱい星人」という噂がたった。その噂は二年生まで登っていき、誠の性格を知る人間によって「おっぱい聖人」というあだ名に改名され、三年生にその噂が伝わる頃には「二年C組おっぱい聖人、天道誠。やっぱりアイツがあの事件の犯人だろう」というものに変化し、心学館高校において天道誠という人間は一躍時の人となる。そして最後には、誠の下駄箱におしゃぶりが投げ込まれ、机の上にはお花が生けられた哺乳瓶が置かれるようになった。
だけど誠は挫けなかった。くじけずに雨宮こころの友人関係を聞き続けた。
そして、机の上に置かれた哺乳瓶に入った花がしおれかかった頃、
「はい、私が……雨宮こころの友達です。たぶん。少なくとも私は、そう思っています」
放課後の校舎裏で、ひどく自信の無さげな女子生徒に誠は出会った。
それは調査を始めてから土日を挟んだ、7日後の金曜日の事だった。
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