AAAカップを探せ
「ラミアさん。もしかして――」
「ああ、そうだ。この吸乳鬼の女は気を失っているが、快楽搾乳をすればすぐに起きるだろう。乳仮面所持者の情報を吐かせてやる」
「そ、そんな! 待ってください! まずは僕が話を聞きます!」
誠は小走りでラミアを追い抜き、自分が倒した吸乳鬼の女子生徒の傍らにしゃがみ込む。
母乳をまみれで、その小さな乳房をさらけ出していた。
「綺麗なピンク色の乳首だ。僕は茶色系が好きだけど、やっぱりピンクもいいなぁ。こんな素敵な乳首を持つ彼女は、なんて名前なのだろう」
誠は吸乳鬼の女子生徒の持ち物を漁り、生徒手帳を取り出した。
――
それが、吸乳鬼だった女子生徒の名前だった。
「雨宮こころ、さん。ははっ。名は体を表すなんて言葉を僕は信じないけれど、でも名はおっぱいを表すってのは言葉なら信じるね。たしかに、名前から連想されるのは、小さくて形のいいおっぱいだよ。さあ起きてくれ!
ズドン! 誠がこころの胸に拳を打ち込めば、ビクン! こころの身体がのけぞった。
「あげぇ! なっ……なにして、ひぃ!」
「さあ、雨宮さんをこんな風にしたのは誰か教えてくれ!」
「こ、こんな風にって……ああっ‥‥‥それはあんたがっ‥‥‥ひぎぃ!」
「おっぱいみたいな仮面を持った人間に会っているはずだ。その人間の特徴を教えてくれたら僕はなにもしない! 雨宮さんは被害者なんだから」
「やめてぇ! お願いぃ、もう母乳でないからぁ! ああっ!」
「伝導共鳴!」
「ああっ! 言います! 言いますからぁ! あの人は……ああっ。あの人はぁ……」
こころは、喉の奥から絞り出すような声で言った。
「あの人はぁ……あの人は私と同じ制服の上着を着ていましたぁ! でも、それしか知らないんですぅ! 見てないんですぅ……信じてぇ……ひぃん!」
こころは再び身体を大きく震わせ、気を失ってしまった。
だが誠は、そんなこころを意に介することなく、眼を見開き顔上げた。
「同じ……制服。ま、まさか。乳仮面所持者は……僕と同じ高校に通っている?!」
誠は立ち上がり、うろうろと歩き始める。
――その可能性を見落としていた。
確かに、同じ高校に通っているのであればあらゆる面で、外部の人間よりもおっぱいの情報を手に入れやすい。むしろ、もっと早く気が付いても良かったくらいだ。
「ちくしょう! もっと早く気づいていれば、襲われた中田さんも、吸乳鬼の雨宮さんも、母乳まみれにならずに済んだかもしれないのにっ!」
誠は、反射的に視線を中田えりに移した。正確には、えりの柔らかく大きな乳房に。そしてその後で、雨宮こころに視線を移す。正確には、こころの小さく形の良い乳房に。巨乳と……貧乳?
瞬間、誠の頭の中を何かが駆けた。あっ、と声を上げそうになる
「大きなおっぱいと……小さな、おっぱい」
まだ、なにかを見落としている、そんな予感。なにか、大切なことを忘れている。それこそ、乳仮面所持者を繋がる手がかりを。
「僕は……なにを見落としているんだっ」
が、そのとき。
「いやあ! 止めて! もうやめぇ! おっぱいおかしくなりゅうううううう!」
「なっ、なんだ?!」
誠が顔を向けてみれば、ラミアが雨宮こころの乳房を凄まじい勢いで吸っていた。
「なっ! なにをしてるんですか! ラミアさん!?」
ラミアは眼だけを誠に向ける。その様は、まるで獲物を貪る獣のようだった。
「快楽搾乳で吐かせてやろう。誠、お前のやり方では手ぬるい」
「そ、そんな! 本当に知らないだけかもしれません! それこそ、乳仮面所持者に襲われて吸乳鬼にされただけかも!」
「そうかもしれんな。だが、そうでないかもしれん。死ぬまでは搾乳せんから安心しろ。ただ、意識が飛ぶくらいの快楽を味わい続けるだけだ」
「鬼畜ぅ! 鬼畜の所業! でも、僕はしっかり見ておきます! 目を逸らしません! ああ、どちゃくそエロいなぁ!」
「いやだああああ! おっぱい解ける! 頭んなかぁ……とけちゃううう。ひぐぅ!」
こころは白目を剥き、気絶する。が、快感によって強制的に眼を覚まさせられ、また気絶する。その繰り返しだった。そしてついに10回ほど続いた後、こころは嗚咽を漏らし始めた。
「知らないんですぅ……。私と同じ制服を着てたことしかぁ! 夜道で襲われて、変な仮面被せられてぇ……ああっ! そしたらおっぱいが飲みたて仕方なくなってって……でも、それしか知らないんですぅ!」
こころは「へあああ」と情けない声を漏らした後、息を吸い込んだ。
「あの人は……あの人のおっぱいは……‥私たち貧乳の希望! き――――」
ビクン! こころの身体が大きく揺れ、そしてそのまま動かなくなった。それを見届けてラミアは乳房から口を離した。
「……やり過ぎたか。まあ、死にはしないだろう。だが、結局なにも分からなかいか。搾乳損のくたびれ儲けとはこのこと……誠?」
振り向いた先でラミアが見たのは、眼を見開き、一点をジッと見つめる誠の姿だった。
「誠? どうした。そんな顔をして――」
誠はラミアの問いを無視し、こころの乳房を鷲掴みにした。
そして今度は中田ええりの元まで行って、乳房を鷲掴みにする。その動作を誠は、何度も何度も繰り返した。
「私たちの希望、希望、希望、希望」
「誠。いったいなにを――」
「わかったぞ!」
誠は立ち上がった。
「電話っ!
誠はこころの制服をあさり、内ポケットから携帯電話を取り出した。すぐさまダイヤルを押し込み、電話を掛ける。
するとラミアが怪訝そうな顔で誠を覗き込む。
「なあ、誠。なにをやっているんだ。なぜ尺取さだめに電話を――」
「ラミアさん。この吸乳鬼だった、雨宮こころさんのおっぱいを見てください!」
誠がこころの乳房を指差した。
「こころさんのおっぱいは……貧乳なんですよ! ちなみAAカップです!」
だが、誠の嬉々とした表情とは対照的に、ラミアは眉を曲げた。
「それは見れば分かるだろう。こいつが貧乳なのは」
「いえ、それだけじゃありません。昨日出会った、吸乳鬼の女の子も貧乳です。僕は彼女を倒すとき、おっぱいを握っているからわかります。彼女もAAカップだったんです!」
誠はラミアの乳房を指差した。
「彼女達は、お世辞にもおっぱいが大きいとは言えない。なのに僕たちは、彼女たちが貧乳という事実を軽視していた。だけど、こころさんが言った『あの人のおっぱいは希望』という言葉! それはつまり……」
誠は言葉を区切り、こころの乳房をビシっと指差した。
「乳仮面所持者は……AAカップよりも小さいおっぱいの持ち主、ということです!」
ラミアがはっとした顔になる。
「なるほど。確かに……、自分より小さなおっぱいでないと、その言葉を使うのはおかしい。ならば……乳仮面所持者は誠の通う学校の……AAカップ以上に胸が小さい……」
「……そう、AAAカップ。……あっ、尺取。僕だ! 天道誠だ! ごめん。電話が壊れちゃってて、人のを借りてるんだ。それより尺取」
誠は携帯電話をスピーカーモードにして、ラミアにも聞き取れるようにしてやった。
「ウチの学校で、一番おっぱいが小さい女の子は誰だかわかるかい?」
『学校一番の貧乳? いったいどうしたんだ?』
「事情は後で話すから! とにかく、一番おっぱいが小さな子を教えてくれ。あの事件の犯人かもしれないんだ」
『ああ、もう。わかったよ。はあ……ちょっと待って。おっぱいが小さい子ってのは結構いるからねぇ……誰が一番小さいとかは――』
「それでもいいから! 下から数えて同サイズの女の子を全員教え――」
『――ああ、待った。誠』
尺取が声を尖らせた。そして数秒間沈黙したのち、スッと息を吸う音が聞こえてくる。
『誠……。この学校で一番の貧乳は、たった一人だ』
――しめた! 誠は小さく笑った。おそらくその人物こそが乳仮面所持者であろうと。
だが次の瞬間、誠は自分の耳を疑うことになる。
『……小鷹結衣。君の……許婚だ』
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