第126話 落ち着く瞬間
フィーと食事を取った後、俺たちは室内でゆっくりとくつろぐことにしたのだが……。
「フィー。部屋に戻らないのか?」
「え、泊まったらダメなの?」
「……いや、まぁ構わないが」
ということでフィーは俺の部屋に泊まることになった。いつも一緒にいるのであまり違和感がないのだが、改めて考えるとこれは色々と問題なのでは……? と思うがそれは本当に今更なのだろう。
「エル。先にシャワー借りても良い?」
「あぁ」
そういうとフィーはシャワーを浴びに寝室へと向かった。フィーは綺麗好きなのでよく風呂に入る。暇なときは一日に三回も入るという話を聞く。
今まではずっと王国の内乱の件でまともにゆっくりする時間などなかったが、こうして久しぶりに時間ができたということで俺も気分を落ち着けていた。
「ふぅ……」
ソファーにぐっと体を預ける。そうして俺はふと、今までのことを振り返る。今回の件は本当に色々と大変だった。しかし、前にフィーに言ったようにこれからはしばらく王国でゆっくりしようと思っている。
迷宮に関してはレイフたちが進めてくれると言っていた。今までは迷宮の件、それに王国の内乱で忙殺されていたがやっと時間が取れる。
これからは野菜の研究に、それに他の農作物の研究にも取り組むことにしよう。それにプロトや1号から4号までの面倒もしっかりと見ていくべきだろう。
そうだ……な。あぁ、しかし……本当に疲れたな……。
と、そう考えながら俺は気が付けばそのままソファーで眠りについてしまうのだった。
「エル……っ! エルってば! ここで寝るのはやめて、寝室に行ったら?」
「ん? あぁ……すまない。眠っていたのか」
ほんの少しの時間だが、どうやら眠ってしまっていたようだ。今まではこんなにも気を緩めて眠ることはできなかった。ひと段落ついたということもあって、ソファーで寝てしまったらしい。
よくみるとフィーの髪は微かに湿っていた。いつもフィーは三十分から一時間ぐらい風呂に入るので、割と時間が経過いるのか……。そして改めて時計で時間を確認して、ぐっと体を伸ばす。
「どうするの? このまま寝るの?」
「いや。俺も風呂に入ろう」
「そ。じゃあ私は、もうちょっとゆっくりしてるわね」
「あぁ」
そうして俺はシャワーを浴びに向かう。熱いお湯を浴びることで、意識を覚醒させるがやはり体は疲れているようだった。まだ微かに眠気が残っているような感覚が残る。
「上がったぞ」
「相変わらず早いわね」
「そうか?」
「えぇ」
そして俺はすぐにでも眠りたいので、寝室へと向かうのだった。
「では、俺は寝る」
「うん。おやすみなさい」
「フィーも早く寝ろよ」
「わかってるわ」
俺はフィーに軽く言葉をかけると、そのままゆっくりと微睡の中へと落ちていくのだった。
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