今の君はピカピカに光って

「猪野先輩…… まだ目を開けないでくださいね」


「う、うん…… 大丈夫だよ、全然見えてないよ」

 眉間に皺が刻まれる位、固く目をつぶったままで答える、

 漆黒の視界の為、自然と音に敏感になってしまう、

 周囲の激しく流れる水の音が聞こえてくる……


「あっ! お兄ちゃん、薄目開けてない? 反則だよ」

 天音の嬌声が聞こえてくる、


「宣人さんは約束は守るタイプですから、そんな事はありませんよ」

 おっとりとした声は真菜先輩だ、


「猪野先輩、目を開けていいですよ!」

 元気なこの声はさよりちゃんだ……


 おずおずと目を開けると、途端に周囲の明るさがいっぺんに、

 目に飛び込んできて一瞬、何も見えなくなる……


 次第に鮮明になってきた視界の正面には弥生ちゃんが立っていた、

 その姿に思わず息を呑む……


「どうでしょうか? この水着……」

 弥生ちゃんが身につけていたのは、胸元はギンガムチェックのオフショルダー、

 下は同じ柄のパレオを巻いているが、その下の黒いビキニが見え隠れしている


 いつもの元気少女の弥生ちゃんとは、イメージが全然違う……

 俺は驚いて言葉が出なかった、


「やっぱり、派手過ぎますか……?」

 弥生ちゃんが恥ずかしそうに、黒いビキニの前をパレオの布で隠そうとする。

 逆にパレオが下に引っ張られて、可愛いおへそが丸見えになる……


「そんな事ない、凄くキュートだよ! 弥生ちゃん……」


「良かった……」

 弥生ちゃんが、ホッと一息つくと嬉しそうに微笑む、


「そうでしょう、お兄ちゃん、弥生ちゃんがこの水着を選ぶのに、

 どれだけ悩んだか……」


「天音ちゃん! それは言わないって約束でしょ」

 弥生ちゃんが真っ赤になりながら、天音を咎める、


「僕のお勧めなんだよ、今年の流行でガーリーな弥生ちゃんにピッタリでしょ」

 天音が得意そうに答える。

 そう言う天音は、パーカーを羽織っていて下の水着が見えない、


「さよりちゃんの水着も可愛いんだよ!」

 元気を取り戻した弥生ちゃんが、さよりちゃんの背中を押して、

 前に歩ませる、


 さよりちゃんの水着は袖がバブスリープの白いトップス、

 袖口は赤いレースがあしらわれ、同じ赤の背中の編み上げがセクシーだ、

 ボトムは白いビキニに、赤いラインのフワフワなレースが華やかな印象で、

 さよりちゃんらしく、水着までロリィタファッションだ。


「学校指定以外の水着なんて、高校生になって初めて着ました……」

 さよりちゃんも何だか、恥ずかしそうだ……


「まあ、まあ、皆さん立ち話も何ですから、お茶でもいかがですか?」

 真菜先輩が、みんなをお茶会に誘う、

 真菜先輩の水着はシックなエスニック柄のワンピースだが、

 フロントは布地のカバー面積が多いが、お茶に誘いながら振り返った後ろ姿に

 悩殺されかけた、大きく背中が開いたバックスタイル、

 腰回りまでカットされた部分に俺の目は釘付けになった……


 何だろう、このパラダイスな空間は……

 ここは天国なんだろうか?


「あっ! お兄ちゃん、何だかニヤニヤしてない?」

 目ざとく天音に指摘されて、我に返る……


「お集まりの皆様、どうぞご注目ください!」


 急に大音量で放送が始まった……

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