朝日のようにさわやかに
「天音、準備は出来たか?」
洗面台に立つ天音に声を掛ける、
「もう少しで用意できるよ、お兄ちゃん!」
髪を念入りにブローしながら天音が答える。
男装女子も、板に付いてきたようだ。
お弁当作りも、俺が手伝える所はなるべく協力した。
父親がリビングに降りてきた。
「おっ! 二人ともずいぶん早起きだな」
朝刊を広げながら、食卓のテーブルに着く。
天音が、親父にコーヒーを容れながら答える。
「うん! 今日は歴史研究会の朝活動があるの……」
「おう、頑張れよ!」
親父が新聞を片手に手を振る。
いつもより早い電車に乗り込み、学校に向かう。
部室の前に到着すると、そこには先に到着している人影が居た。
朝霞部長だ、
「おはようございます、皆さん早朝からお疲れさまです」
いつ見ても柔らかな雰囲気の女性だ。
「よう、みんな早いな、」
顧問の八代先生が到着した。
「おはようございます!」
そこに居る全員で挨拶する
相変わらず、ボサボサの髪と朝からサングラス着用の、
怪しさは変わらない……
「今日はもう一人、手伝いに応援を呼んである」
八代先生が続ける。
部室の中から女生徒がおずおずと姿を現す……
「おっ、おはようございます……」
「えっ?」
思わず、俺は声を上げてしまう。
「一年A組 住田弥生です……」
「弥生ちゃん?」
昨晩の事を思い出し、顔が赤くなるのが分かる……
「天音くんの推薦で来てもらった、何でもイラストやPOP作制に、
明るいそうだからな」
「弥生ちゃん!来てくれてありがとう……」
天音が嬉しそうに声を掛ける。
「ふつつか者ですが、よろしくお願いします……」
弥生ちゃんが、何故かお嫁入りの様な挨拶で答える。
ドッ、とみんなに笑顔の輪が広がる。
そうだ、この娘のすごい所はみんなを笑顔に出来る事だ。
「さあ、みんなで新入部員勧誘のポスター、手配り用のチラシ作りだ」
八代先生が手を叩く。
「校長のお済み付きだ! ジャンジャン作ってくれ」
「はいっ!」
その場に、居る全員で答える。
ゆっくりだけど、俺たちの夢に向かって動き始めたみたいだ……
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