【第5回】第1章 異世界激闘編 1.空手vsミノタウロス③
ズムッ!!
分厚いゴムの
──グォォォッ!
「……くっ!」
頭上から
「さすがに、
間合いを取りながら、おれはかつて牛と戦ったときのことを思い出していた。動物の皮膚というのは、肉の塊と分厚い皮に覆われており、衝撃を吸収するのに理想的な形をしている。あれを
敵が、再び吼える。しかし、
「警戒させるくらいの効果はあったか……ほっとしたぜ」
おれは構えを取りなおした。敵は棍棒を身体の前に水平に構え、じりじりと横へと回るように動いた。
「……
先ほどの女が言う声が聞こえた。ここから女のところまで、
──デカい。5mはある。
かつておれは、武者修行の旅の中で
だが──!
「……あいつらの方が、まだ強かったかな」
おれは構えを変えた。重心を前に移し、左手を下げて右手を引く。
「決着をつけよう……来い!」
おれの叫びに応えるように、
「……だが、甘い!」
おれは上へと、跳んだ。足元の地面を棍棒が砕く。
──ここだ!
おれはそのまま、足元の棍棒を蹴り、前へと跳ぶ!
「大きいものが強い」──これは自然界の絶対的な
目の前に、
──ゴッ!
「
人間を相手にこの
その一撃に、
「……てりゃぁぁぁっ!!!」
空中で突きを
さらにそのまま、落下するに任せて正拳をもう一発──「
「……正中線四連撃・対巨大
人中、喉笛、水月、そして金的。
人型生物の身体の中心線、「正中線」に集中する急所を同時に
「すごい……!」
女が目を丸くしていた。おれは残心を解く。巨大なバケモノは
おれは顔をあげた──と、黒いマントの男と目が合う。
「……その技……」
男の口元が動いた。胸当てと同じ銀色の
「……空手、だな?」
黒衣の男は、そう呟いてニヤリと笑った。
「貴様、異世界転移者か……面白い」
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