【第3回】第1章 異世界激闘編 1.空手vsミノタウロス①
1.空手vsミノタウロス
おれが異世界に行って、最初に戦った相手の話をしようと思う。
「私は女神、
それは、
「そこはあなたの世界とはなにもかも
その声を何気なく聞きながら、おれは考えていた。トラックが突っ込んできたあの一瞬、あの一撃をかわし、エンジンに打撃を加えることができれば、勝機はあったのではないか。いや、まずはタイヤを
「……あのね、ここは精神の世界なので、あなたの心の中、だだ
言われておれはようやく、目の前にいる女の姿に気がつき──そして、
「まぁ精神体なのでそんなもんですよ。説明続けてもいい?」
長い
「そうそう、これでもジムには通ってるからね、最近はビートボクシングってやつにハマってて……ってちがーう! だから話を聞けっての!」
そしておれはふと、先ほどこの女神が言ったことを思い出した。この女は今、『異世界』とか言ったか?
「あ、一応聞いててくれたのね。そうそう、あなたは異世界に行くの」
異世界──すなわち、現代の地球とは別の世界、ということだろうか。
「そうそう、いわゆる
ということは──もしかして、モンスターとかもいる?
「そりゃもう。よりどりみどりですよ」
【画像】
それを聞き、おれは決意した。
「神なら今目の前にいるんだけどね……あと、あなたみたいな転移者には、ステータスとか、
「あ、やっと聞く態勢になった。えっと、異世界転移者はいわゆる熱力学の第一法則を無視して、別の次元からエネルギーを引き出せるの。私たちはそれを
──要らん。
「え?」
おれの望みは、
「えっと、でもモンスターとかヤバいよ? 火とか吹くよ?
たとえここで死んでも……超人の夢と四つに組んでくだけるのなら本望! ここで倒れるなら、おれの空手はそこまでだったということだ。
「いや、こっちにも都合があるから、勝手に倒れられても困るわけで……
おれは来たる強敵との戦いに、
「……あー、もういいや。まぁとりあえず行ってきて。あたしも一応後から行くから」
女神がそういうと、おれの意識は、その場から再び遠ざかっていった。
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