第11話 真実とは
UH-60に乗り少しづつ近づく旧海上プラントに目をやる。
《間もなくポイントに到着します》
無線を通じて聞こえてくるパイロットの声に了解と短く答えるとハッチを開けてヘリポートを見るとそこには一つの人影があった。
「…No.13」
ヘリポートにランディングを完了すると私は真っ先に飛び降りNo.13の下に歩いて行く。それに続いてイーサンも降りてくる。
「…ドレスコードも設定した方が良かったかな」
私の姿を見るなりNo.13はそう言ってくる。
当然私はフル装備で乗り込んで来た。
「そうね、それはそっちの落ち度ね。それにそっちもその手に持ってるのは何かしら?」
No.13の左手には日本刀が握られておりいつでも引き抜いてきそうな雰囲気を醸し出している。
「まぁいい少し付き合ってもらおう」
「その前に、国防長官は?」
「ちゃんと無事だよ、心配することでもないだろ」
私はイーサンと顔を見合わせて頷く。
「こっちだ」
そう言って促してくるNo.13の後をついていく。
「そう言えば、No.15が勝手な事をしたらしい。謝罪するよ」
「しらじらしいわね」
しばらく歩いて行くと巨大なエレベータにたどり着く。その扉が大きな音を立てて口を開くとNo.13はつかつかと歩いてエレベーターに乗り込む。それに続いて私もエレベーターに乗り込みイーサンも続くが、
「君はここまでだ」
No.13はそう言う。
「なんだと?」
「君はここまでだと言ったんだ」
「ふざけるな、国防長官はどこだ?」
「知ってるんだろ?」
No.13は無線を取り出し
「脚底部から入り込んだ連中を皆殺しにしろ」
「イーサン!」
私は叫ぶと、イーサンは少しためらった後頷き駆け出して行く。ゆっくりと閉まるエレベーターの扉越しにイーサンの背中を見送ると私はNo.13を睨みつける。
「怖いね」
「ここであんたを殺しても良いんだけど?」
「まぁ、落ち着け。お前も知りたいんだろここが何なのかを」
「…」
エレベーターはゆっくりと動き出す。ゆっくりと下へ。
「それで?」
「お前はどこまで知ってる?俺たちの事を」
「敵。それだけで十分」
「十分じゃないな、お前だって知りたがってる筈だ」
「何を…」
「何もかもだ」
そう言ってNo.13は私に背中を向けて語り出す。
「俺は思ったんだ。なぜ俺はNo.1ではないのかと。俺はNo.13だった。じゃあ、No.1からNo.12はどこに居る?疑問に思うのが普通だろ?」
「そうね。それで?」
「だから俺は調べたんだ俺たちの居た研究所の事を、俺たち自身の事を!答えは簡単に出た。ここ以外にも施設があって他にも被検体がいることを知るのに時間はかからなかった」
「どうやって調べたの?」
「単純だ、サーバールームからネットワークに侵入してな」
「サーバールーム?あそこはセキュリティがあって入れないんじゃ?」
「No.15はそう言った事に強かったからな。セキュリティも簡単に突破したよ」
あのサイボーグの姿を思い浮かべる。
「そこでお前たちを知った。特にお前の事はサーバー上に事細かな情報が残っていたよ」
「私の?」
「あぁそうだ、お前はどうやらあの施設の長に気に入られていたらしいずっと監視されていたぞ」
あの男…
「それに最終実験の真実だって知ってる」
「最終実験の真実?」
No.13は振り返り私の目を見てくる。
「そもそも俺たちは商品にならない失敗作だったんだよ」
「どういうこと?」
「俺たちに投与された薬は人の特殊能力を引き出す薬だったのは知ってるな?だが発現する能力はコントロールできずにいたんだ」
そうだろう、そうでなければあんな多種多様な能力は生まれないだろう。
「だが、問題はその能力の振れ幅だった。とても有用性の高い能力から使い道のない能力まであった。必要な能力だけを厳選するためにはたくさんの人間が必要になる。それにこの薬にはさらなる問題があったんだ」
「さらなる問題?」
「この薬は成長期を終える前に投与しなければ定着がせず、能力を発現させられないのだ。だから大人は被検体にはなれなかった。だから子供が集められて被検体にされたんだ」
なるほど、疑問には思っていたけどそう言うことだったのね。
「わずかな希望とされたのが、この能力は遺伝するということだ。そうすれば有用な能力だけを厳選し量産をすることができると」
「量産ね。まるで兵器でも作るみたいな物言いね」
「何を言ってる。俺たちは兵器で商品だったんだよ!だが計画は頓挫した。当然だ時間も金もかかりすぎる。だから俺たちはNo.24で打ち止めにされた。そしてあの最終実験だ」
「…?」
「あの最終実験は、俺たちを処分する体のいい口実だったんだ」
初めから、処分される前提だった…?じゃあ、私はあの男に担がれたの?
「…だが、最終実験は予定外の結末で幕を閉じた」
「予定外の…結末?」
「お前だよNo.7。お前の能力の開花だ」
私の能力?
「それって一体?」
「お前は他人の能力を奪ったんだ!今まで一人一つずつの能力が、お前に!集約されたんだ!」
No.13は興奮した様子で語り続ける。
「予定は変更されお前は母体にされる事となったんだ。俺たちNo.24まですべての能力を取り込ませた後にお前の遺伝子で子供を作る計画になったんだよ!」
私を母体に?子供?
予想外の単語に少し混乱し始める。つまり私は兵器で子供も兵器にされて?
「何を…言って?兵器?子供?それで、どうするの?」
「決まってるだろ!世界中に売られるんだ!兵器として!」
「そんな事して何になるの?」
「金だよ。誰彼構わず売りさばいて金儲けをする為だ」
「…ふざけるな。私は、私は!」
私は!…私は、
私はなんだ?
私はそうだ、普通じゃない化け物だって自分で認めてたじゃないか。
兵器っだって言われても不思議じゃない。なんで今までそれから目を逸らそうとしていたんだろうか。
「…まぁ良い、その実験結果を受けて俺たちの最終実験は中止となったんだ。その代わりに解体されることになったんだ」
「…解体?」
「お前がどの部位が必要かわからないから全部バラバラに解体されて保管される事になった。だから俺は自分が解体される前にNo.14とNo.15の脳髄だけをもってここを逃げ出すことにしたんだ」
「それで、No.14とNo.15に機械の体を与えたのね」
「あぁ、それでここを制圧した」
そういって、エレベーターの扉が開く。
「…ここは」
そこは私の居た研究所によく似ていた。
「ここは俺たちの育った研究所だ」
階段を駆け下りて仲間の下へ急ぐ。
事前ブリーフィングで見せられた構造図でおおよその検討をつけて行動してるであろう仲間の下へ急いで駆けてゆく。
曲がり角を曲がり扉をくぐり、心臓が破裂しそうになるほど必死に走った。
「イーサン!どうしてここに?」
そこには国防長官を確保するアドンとサムソン、それに米軍の面子がそろっていた。
はッとして大声を上げる
「全員伏せろ!!」
そう言って俺は部屋に飛び込み他全員床に伏せる。その直後だった。
大きな音を立てて壁に無数の穴が開き頭上を弾丸が遠慮なく横切ってゆく。
「イーサン!なんだこれは!?」
「一つ目の巨人だ!」
本当に厄介だこいつをNo.7抜きで戦わなければいけないのだからな。
「アドン!サムソン!あいつの相手をするぞ!他はさっさと退避しろ!!」
「おい!勝手に決めるな!三人で相手だって!?無茶言うな!」
「無茶でもなんでもやるんだよ!」
愚痴るアドンを一喝する。
銃撃が止んだタイミングでそれぞれの行動を開始する。
「頭に攻撃を集中させろ!それ以外は効果が薄いと思っとけ!」
そう言って駆け出し壁を曲がり敵を確認する。
「お、おぅ…」
そこに居たのはNo.14なのだが、右手には大きなバルカンに背中に巨大な弾倉と思われるコンテナを背負い左手には巨大な盾が装備されていた。
「…退避。退避!!」
大声で叫んで踵を返し来た道を引き返す。それと同時にバルカンが回転を始める音が聞こえたかと思うとすぐにけたたましい音を響かせて銃弾の雨を降らす。
「イーサン!冗談じゃねぇぞ!あんなのどうやって相手するんだ!!」
「そのためにそれ持って来たんだろうが!!泣き言言うな!」
アドンが持ってきたのはM202FLASH。焼夷弾であるそれならば装甲越しに脳に直接ダメージを与えられると思ったのだが…
「盾が邪魔だ!何とかしろよ!」
「出来たら苦労しねぇって!」
冷静になれ、何か方法は無いか?
あの弾倉相当な量の弾丸を詰め込んでる筈だから弾切れになるのは現実的ではない。
ならいっそのこと、
「何とかして背中をとれないか?」
「あぁ!?確かに回りこめないことはないが?」
「ならサムソン!周りこんで背中の弾倉にそのランチャーぶち込んでこい!奴の気は俺がひきつけるからよ!」
「了解!」
サムソンは力強く答えると駆け出して行く。
「良し!ひきつけるぞ!」
「まじで勘弁してくれぇ!!」
アドンは泣き言を言いながらも援護をしてくれる。
しかし、一向に背後からの攻撃は行われない。
「サムソン!何してる!!早くしろ!!」
《無茶言うな!一回上のフロアに上がってからじゃないと回り込めないんだよ!》
「はぁッ!?」
どんどん壁には穴が増えてゆき隠れる場所などんどんなくなって行く。
「おいおい、シャレになんねぇぞ!」
ガシャンガシャンと足音を響かせそれは近づいてくる。その時だった。
爆音とともにNo.14の巨体が膝をつく
「待たせたな!」
「サムソン!おせぇぞ!」
そう言って身を出す。そこには弾倉が吹き飛び背中が黒焦げになったNo.14の姿があった。
「…!?まだ来るぞ!」
No.14は使い物にならなくなったバルカンを切り離し立ち上がりこちらに向かって歩いてくる。
「クソッ!!」
悪態をつきながら銃を斉射するが、No.14はお構いなしに前進してきて俺につかみかかってきた。
「イーサン!」
強烈な締め付けに悲鳴が上がるが歯を食いしばり
「っざっけんなよ!」
そう言ってハンドグレネードの安全ピンを引き抜きNo.14の首元に挟みこむ。するとNo.14は慌てた様子で俺を放り投げる。壁に叩きつけられて背中が酷く痛む。
No.14は必死でグレネードを取ろうともがき、左手の盾も放り投げるが努力むなしく首元でそれは爆発した。
「…やったか!?」
しかし、よろけはしたもの撃破までは至らなかったが
「くたばれ化け物!」
そう言ってアドンがFLASHを全弾斉射する。それは吸い込まれるように頭部に命中しあたりに爆発して行く。
No.14は悶え苦しむ様に地面をのたうち回りそして動かなくなった。
「…やった…のか?」
そう言って全員でゆっくりとNo.14の残骸の下に歩いて行く。
「あぁ、やったみたいだ」
サムソンが確認をする。
「そうだ!イーサン、ナナは?」
「ナナ!そうだった!急がないと!」
ナナの下に急ごうとするが胸に鈍い痛みが走る。どうやらあばらにヒビが入ったか折れたらしい。
「イーサン!無茶をするな」
「知るか!急ぐぞ!!」
研究所をしばらく歩いて回るとどこか懐かしい感覚に襲われる。
「…懐かしいか?」
No.13が問いかけてくる
「でも、何か違う」
「当然だ、ここは俺たちの研究所だからな」
No.13を一室を開けるとたちまち熱気が立ち込める。そこは細い通路が張り巡らされその足場の遥か下には赤く煮えたぎった鉄のある部屋だった。
「これは、溶鉱炉?なんでこんなものが」
「当然製鉄を行ってる。このプラントでは武器の製造もおこなっていたからな」
「…それで?そろそろあんたの目的を聞かせてもらえないかしら?」
「単純だ、お前が欲しいNo.7」
「仲間になれと?」
「それは当然だがここの被検体を取り込み俺との子供を作るんだ」
「…あんたも結局金?」
「違う!俺はお前との子供で軍隊を作るんだ!それで世界を破壊する!俺たちを捨てたこの世界を」
「…何言ってるの?」
「俺の目的だよ!」
「馬鹿じゃないの?」
「俺は本気だ!お前だって憎いだろこの世界が!!」
「一緒にしないでくれる?」
「…知ってるぞ、お前が研究所を逃げ出した時に何があったのか?」
何?
「一緒に居た研究員がどうなったのかも」
主任の事?
「俺は見ていた。ここのサーバーにもログが残ってる」
なるほど
「お前だって憎いはずだ!こんな世界!」
「…そうね、憎いわ」
「なら!」
「でも残念。私はあんたほど暇じゃないのよ、何年もかけて計画をする程ね」
「No.7!」
「話はここまで。やっぱりあんたは殺す」
SCARを構えサイト越しにNo.13を睨む。
「…本当に残念だよ」
No.13は刀を鞘から引き抜き鞘を投げ捨てる。
「だったらその手足を切り落として、俺の計画の道具になれ!」
そう言うとNo.13は突進をしてきたので私は構わず射撃を行うと、No.13は避ける素振りも見せず銃弾を身に受けながら切りかかってきた。それを寸での所でかわし背後に回り込み続けて射撃を行う。しかし、やはり避けない。
「疑問に思ってるだろ、なぜ避けないのかって」
No.13の銃創から弾丸が次々と押し出されてゆく。
「当然だ避ける必要なんてない!」
No.13は振り返り、こちらに迫ってくる。
「俺の能力は『強化再生』!ただ再生するだけじゃない!より強くなって再生するんだ!」
頼みもしないのに能力の説明をしてくれた。それだけ能力に自信があるんだろうか。
No.13はこちらの攻撃もお構いなしに刀を振り回す。ただ振り回してるだけなので回避はたやすいが、決め手に欠ける。だったらと私は刀を左手で受け流し思い切って右腕をその胸に深く突き立てた。
「ぐふッ……知ってるぞ、お前はそうやって被検体を殺して回ってたな」
No.13は胸倉に腕を突き刺されても平然として私の右腕をつかみ引き抜こうとする。
「どうした?心臓はつかまないのか?」
「…その必要はないから」
そう言って右腕を引き抜き人差し指を見せる。人差し指の引き抜かれた安全ピンを…
No.13の胸の穴からこぼれ出たハンドグレネードのセーフティレバーが床を叩くとNo.13が胸の穴を中心に大きな音を立ててはじけ飛んだ。それと同時に私の体も後方に弾き飛ばされ倒れ込む。
「…派手にはじけ飛んだな」
無残にも下半身だけとなったNo.13を見下ろす。案外あっけないものだった。
「私はね、化け物だけど道具じゃないのよ」
すると宙を舞ってたのかNo.13の持っていた刀が足元に突き刺さる。私はそれを引き抜いてみる。
「…ただの刀ね」
刃こぼれはしてないが、使い手があれじゃあ本来の力なんて出ないでしょうね。
ふと、何かが動く気配がする。ハッとしてNo.13の残骸を見るとそれはモゾモゾと動き出し肉の泡を吹き出すように膨張し人の形を形成して行く。その光景は極めてグロテスクで目をそらしたくなるほどの醜さがあったが、一分もしないうちにNo.13は元の姿へと戻っていた。
「なかなか…ひどい事をしてくれる」
「…冗談でしょ」
No.12ですらできなかった再生をいとも簡単にやってのけた。本当にこいつを殺せるのだろうか?
足元を見る。そこには液状にまで熱された鉄が大量にありここまで届く熱気を放っていた。
「さぁ、それを返せ」
私は刀を構える。正直獲物を返せと言われて返すほどお人よしではない。
「No.7!」
飛び掛かってくるNo.13を躱し腕を切り落とす。しかし、切り落とした端からすぐさま新しい腕が生えてくる。
「無駄なんだよ!」
もう一度と思ったが今度は切断まで至らず刃が途中で止まってしまった。
「これが『強化再生』だ!」
刀を返し今度は表面をそぐように切り付けてみる。間髪を入れずに全身の肉をそぐように切り刻んで行くと
「無駄無駄!む……グゥッ!何だ!?」
No.13の様子が少しおかしくなってきた。戸惑う様子のNo.13に対し好機と異変に構わず今度は迷わずに首を切り落とす。しかし、首を落としたのにも関わらず出血量は少ない。その後すぐに肉が盛り上がり新しい頭が生えてくるが、その顔は何かがおかしい。顔の右半分が醜く爛れたような状態で再生をしている。
「グゥッ、ガァアッ」
どうやら声帯も正常に再生されてないのか、その声は酷くくぐもっており聞き取りにくい。
「ナンバァァァァアゼブンンンンンンッ!!」
そうしている内にもNo.13の姿は変貌して行き右腕が異常に発達をはじめてゆき体格も一回り程大きくなっていた。
その発達した腕を私目掛けて振りかざし襲ってくる。その異常さに少し後ずさったが、改めて刀を構え直す。
「冗談じゃない!」
こいつは私以上に化け物なのかもしれない!
そう思いながらNo.13の攻撃をいなしつつ反撃を行うが切り付けても切り付けてもすぐに再生してしまう。
それに少しづつ押され始めだんだんと逃げ場がなくなってきてしまった。
やはり、こいつは足元のソレに叩き落とすしかない。
相手をよく見ると、上半身に比べ下半身は言うほど膨張もしておらず多少なりとも貧弱に見えている。上半身に攻撃を集中したけった上半身ばっかり発達してしまったようだ。
そこが今の弱点だと信じるしかない。私はNo.13に駆け寄り繰り出されてた右腕をスライディングで滑り込むように回避し股下をくぐりぬける。その際にアキレス腱を刀で切り付ける。すると、No.13はたまらず膝をつく。体の筋肉をバネの様にして体を宙に打ち上げ今度はNo.13のうなじに狙いを定め刀を振るう。皮膚の表面をそぐように切りむき出しになった頸椎を左手でつかみ力尽くで引き抜きNo.13の背中を蹴り通路に着地をするとゆらりと動きその巨体が足場からゆっくりと落ちてゆく。頸椎を失ったことにより全身に脳からの命令が伝達されなくなりその部位が再生するまでは体は動かない。落ちてゆくその姿を見てるとゆっくりとこちらを目で追うのが見えた。だから私はその額目掛けて手に持っていた刀を投げつけた。それは見事に突き刺さるとNo.13は溶鉱炉に墜落する。ゆっくりと沈んでゆくその巨体を眺め、完全に沈んだことを見届けると私はその部屋を後にした。
セキュリティルームに到着した私は早速端末にアクセスして情報を探す。
ここからならサーバールームを覗くこともできるはずだった。カタカタとキーボードを操作して中身を漁っていくととあるファイルにアクセスすることができた。
No.7の可能性と有用性について
今回の最終実験においてNo.7は想定外の行動をし生き延びる事に成功した。それは他の被検体を取り込む事ににより本来発現しない他人の能力を短期間で発現させる事ができることが判明した。通路での他の被検体との会話によりNo.7は本能的に取り込める事を理解した模様。
これは、なにが発現するかわからないと言う欠点を補える能力であると私は考える。この能力により有用な能力をNo.7に取り込ませる事により能力を集約させることができると思われる。
さらには、遺伝すると言うもう一つの特性を利用することにより複数の能力を持った個体を量産することが可能と思われる。
育成に時間がかかると言う欠点は相変わらずではあるがそれを補って余りある結果を出せると見込まれます。
追記
No.7の能力は未だ未知数の領域があると思われる。彼女がチョーカーを力尽くで破壊した時には終わったと思ったが、それは杞憂だったようだ。彼女はチョーカーを破壊しようとした際に投入される神経毒を無効化する術も持ってるらしい。それはどの被検体も持っておらず。No.12ですら毒物には悶え苦しむと言う結果を残してるところを見るとそれも違うと思われる。
以上の事から私はNo.7を中心にプロジェクトの再編することを申請する。
この内容をかいた人物は、あの研究所の所長。
「…目論見が外れて残念だったわね」
他のファイルにも目を通す。
すると、今度はメールのログを発見する。それは私があの研究所を出てから二日後の事らしい。
この研究所はもうだめだ。あんな化け物がいたんじゃもうおしまいだ。助けてくれ。
あの男は「アレ」を地上に出すわけには行かないと言って飛び出して行った。確かあれはNo.7の研究室の男だった気がする。それから数時間後にはメインジェネレーターの停止が確認された。あの男が電源を落としたんだ。今は予備電源でこのメールを送ってるがそれもいつまでできるかわからない。
だから早く助けに来てくれ!扉の向こうで奴らが扉を叩く音が未だに聞こえるんだ!それに、あの女の笑い声が頭から離れないんだ!まるでずっとそばに居るみたいに耳元でクスクスを笑い続けてるんだ!
助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!
速く助けてくれ!
一通り目を通すと疑問が残る。あの女とは?
それに私の研究室の男?それはあの助手の事だろうか?それとも…
いや、ありえない。主任は死んだんだ。
だとするなら、あの助手なのだろうか。無事…とは言い難い状況らしいが生きていたらしい。
しかし、何かが研究所で起きたのは間違い無いらしい。
他にも情報が無いか漁っていると映像ログを発見する。そこに映っていたのは意外な人物が微笑んでいた。
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