20年目の告白
勝利だギューちゃん
第1話
人は誰しも、恋をする。
初めての恋を、初恋という。
その初恋は、人によって時期が違う。
たいていは、幼稚園の頃だが、高校時代に初恋をする人もいる。
そしてその初恋は、たいてい敗れ去る。
えらい人が言っていた・・・
僕の初恋は、高校生の頃。
クラスの女の子だった。
しかし僕は、それを口にすることはなかった。
その子は、事あるごとに、ちょっかいを出して来た。
「ねえ、どうしていつも、ひとりなの?」
「寂しくない?」
「友達いないの?」
「私が、友達になってあげようか?」
どれもこれも、当時は腹正しかった。
目ざわりだった。
しかし、その子がちょっかいを出してくるのを、楽しみにしている自分がいた。
そしてそれが、僕の「初恋だった」と、後に知る。
高校の同窓会の案内のハガキが届いた。
僕は、当然の事だが、欠席をした。
もう、会いたくなかったからだ。
惨めな思いはしたくない。
人を避ける所は、昔から変わっていないようだ。
「ねえ、どうして来ないの?」
「みんな、待ってるよ」
「変わらないのは、君だけじゃないよ」
「あそこにいけば、タイムスリップするからね」
夢にまでその子は出てくる。
でももう、欠席のハガキは出した。
今更、引けない。
しかし、その数日後、幹事の子から電話があった。
「どうしても、来てほしい」
その催促に根負けして、しぶしぶ参加した。
案の定訊かれた。
「今、何しているの?」と・・・
答えたくなかった。
ニートとか、そういう理由ではない。
それを答えれば、態度が変わる。
それが、嫌だった。
手のひらを返したように・・・
「やあ、元気?」
あの子がそこにいて、声をかけてきた。
「何とかね・・・」
「いつも、見てるよ」
「何を?」
「君の小説、面白いね。全部持ってるよ」
僕は、驚いた。
「どうして、それを。わからないように、ペンネームにしたのに・・・」
「あなた、私をなめてない?私を誰と思ってるの?」
「どういうこと?」
「好きな人の事くらい、すぐにわかる。あなたのペンネームは、あなたの名前のアナグラム」
うかつだった・・・
もっと、わかりにくいのにすればよかった・・・
「改めて言うね」
「何を・・・」
【私は、あなたの事が大好きです。】
20年目の告白 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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