壊れる日々

 彼女をなくした俺は毎日が苦しかった。


 返ってこない挨拶、

 1人での食事、

 1人で行く本屋、

 写真でしか見れない笑顔・・・。


 どれもが俺を苦しませた。


 彼女の遺言はこうだった。


「私が死んだら、私のことなんて忘れて楽しく生きてね。」


 そんなことできるか!


 忘れられないし、忘れたくもない。


 彼女と過ごした日々は本当に楽しかった。


 毎日が宝石のように輝き、明日が楽しみで仕方がなかった。


 なのにその日々を忘れてというのか!


 彼女には悪いが俺にはできない。



 俺の生活は少しずつ悪化した。


 少量の食事のせいでやせ細り、

 夜は眠れず体調を崩し、

 会社を休み引きこもるようになった。



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