第3話 相沢さんの話

 ―相沢美幸の歴史―


 私は父と母に、顔が似ていない。産まれた時から。

 この事で、父と母はよくケンカをしている。両親のどちらにも似ていない私に、両親は愛着が沸かないようだ。

 

 ある日、矛先が私に向いた。

 最初はケンカをしていた両親だったが。「どちらにも似ていない」という共通の想いから、私を共通のターゲットにした。

 かといって、両親のケンカが終わる訳ではない。

 私は家にいるのが嫌になり、帰宅時間が段々遅くなった。


 私は、男に走った。男は私を愉しませてくれる。愉しい時間を過ごせる。

 そんな私を見ていたからか、妹はとても地味で真面目だ。妹は、両親のどちらにも似ていた。両親はこれ見よがしに、妹を可愛がっている。

 

 わざわざ家で、つまらない時間を過ごす必要は無い。

 私の顔を見たくない両親、私の帰りが遅いと嬉しいだろう。

 けれども私の帰宅時間が遅いと文句を云う。私がまだ未成年だから、親の責任云々の観点からだろう。そんな事、私に関係ない。


 私は中学生の時に、大学生とつきあっていた。大学生の彼とは、色々な話をした。

 大学生の彼の二十歳の誕生日の前日に、お別れをした。


 高校に入学してからは、ギャルの友達が出来た。ギャルの友達は自分に正直で自分磨きを怠らず、いつも輝いていた。


 少しして、父が自殺をした。理由は解らない。解らないというか、母は何も教えてくれない。私も何も聞かなかった。

 

 どのみち私が、両親のどちらにも似ていないという理由でケンカしていた親だ。

 私が真面目に生きていたとしても、結果は同じだったと思う。だったら自分に正直に生きた方がいい。


 私はメイクを研究して、メイクで綺麗になる自分に自信がついた。綺麗になると周りがちやほやする。

 両親は私に辛く当たるけれども、友達に恵まれた。プラスのエネルギーが、私を後押ししてくれた。

 私は自分のやりたい事に向かう。それを、努力と呼ぶらしい。


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