鉄ぐし
ごわごわしている君の髪を 頭を撫でた
君は雨に濡れていた 言われれば傘を運んだのに
君はなぜか不満げな顔をしたけれど 静かに頭を撫でられている
指を入れるとすぐ詰まる
とかすにはくしが必要だろう
それも格別硬い鉄ぐしが
しょうがないので私は
髪をひとかたまりずつつまみ
糸をほぐすように
黒糸の中にピアノ線のような白糸
白糸を抜くと君は「何?」と言って
「白糸」「ああそう」
二本目以降は君は何も言わなくなった
窓の外ではまだ雨が降っている
雨垂れが樋の中を駆け下りている
鉄ぐしがないから君の髪はとけない
私は白糸を抜き続ける
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