揺れ

寝っ転がってぼーっとしているとドン、という音が聞こえた

そしてすぐに揺れが僕らを襲った

どれくらい揺れていただろう

僕は死を思った


家族が横の部屋から起きてきて

揺れた揺れたと騒いでいた


「こんなところで死にたくない」と思った

それは「人生でやり残したことがある」とか「まだ生きていきたい」とかそういう類のものではなく

「この家で死にたくない」「この家族と一緒に死にたくない」という

普段考えたこともない けれど否定しようのない思いだった


もう一度大きな揺れが僕らを襲えば

僕はこの家族と共に死ぬ

言いようのない拒否反応が僕の心臓を貫いて

なんだかむかむかしてくる


僕は今すぐこの家を飛び出して

どこかの電柱に潰されて死にたいと思った

だけどテレビは慌ただしくどこもニュースを流していて

屋内で安静に そう書いてある


共に死にたい人なんてどこにもいない

その事実に気づいた僕は耐えがたい孤独に襲われた

僕はぐっと頭を抱えて机の下に縮こまり

絶対こんなところで死んでやるもんか

そう呟きながら震えそうな体を抑えつけていた

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