ベランダで前まわりをすること
ふとしたときに死を実感することがある
しいたけを切る包丁が中指をかすめたり
頭にシンバルの角をぶつけてしまったり
きつい手袋を外したら痕が残っていたり
ベランダの手すりにもたれかかって夕焼けを眺めたりしているとき
なぜかふっと 普段は考えもしない死についてのことが想起される
私がこの包丁で手首を切り落としたら
何度も何度も強く頭をぶつけ続けたら
手袋をきつくきつく締め続けていたら
鉄棒の前まわりみたいにくるっと上半身を回転させたなら
私の死はすぐそばにあることに気づく
私がその死を選ばないのは
愛する家族のためでもなく
大切な友達のためでもなく
希望溢れる未来のためでもなく
私の机の引き出しの中の
恥ずかしい日記帳たちのためなのだ
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