第26話
バンクーバー空港からイエローナイフ空港に移動。
飛行機から降りて、入国審査を済ませる。
時刻は20:00。
カナシオ曰く、外は-30℃とのことだ。
荷物をまとめ、空港から出るも、
「さっ、さびい……」
真冬の中、四方に扇風機を設置して、尚且つ全裸でいるくらい寒い。
職場仲間から借りたダウンジャケットなんて、着ていた所で鼻で笑われるだけだ。
他のメンバーも似たり寄ったりで、みなガチガチ震えている。
駐車場へとやって来ると、カナシオが1台の車を指差した。
「では、こちらの車で移動してもらいます。 目的地はカーナビにセットしてありますので、どなたか運転を」
みな顔を見合わせる。
凍った鼻水のつららを垂らしながら、白鳥さんが聞いた。
「あっ、あのぉ…… う、うんでんもわだぢだぢで?」
あまりの寒さに呂律が回っていないが、カナシオが決め手の一言を放つ。
「私、免許ないんで」
「……」
結局、免許を持ってる黒木さんが運転することとなった。
助手席にカナシオ。
俺と白鳥さんは後ろだ。
ライトを点灯させ、雪道を走らせる。
「ミギニイケ、バカヤロコノヤロメ」
「その信号を右です」
カーナビの言語が英語の為、カナシオの通訳に従う。
(つか、黒木さんが免許持ってなかったらどーする気だったんだよ……)
俺が呆れていると、白鳥さんが質問した。
「あの、宿泊先のホテルでも何か仕事をするんですか?」
「もちろんです。 ついたらすぐにベッドメイク、明日の早朝からお客様がお見えになられるので、そのおもてなしをしていただきます」
要は、ホテルマンをやれってことか。
俺らだって5万払ってるんだし、お客様な気もするけど……
「やっぱり、働かなきゃダメですか」
はあっ、と白鳥さんがため息をつく。
遠路はるばる十数時間も飛行機に乗って、まだ仕事が残っている。
(ため息だってつきたくなるよな)
普通のツアーならすぐにホテルで就寝できるんだろうけど。
俺は、窓ガラスから空を覗きながら、そんな風に思った。
すると、カナシオに指摘される。
「フライングはダメですよ。 それに、今日は雲が厚くてオーロラは見れないでしょう」
オーロラ、見れないのかよ……
携帯のカメラで写メして、ヨシコに送ろうと思ったのにな。
車を走らせ30分程度で、俺たちは宿泊先のホテルに到着。
車から降りると、俺たちは急いでホテルの中へと避難した。
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