第23話

家に帰ってから、俺は思い切ってヨシコの勧めてきたオーロラツアーに参加することにした。


出発は2ヶ月後。


場所はカナダのイエローナイフで、5日間のツアーとのことだ。


条件付きって項目が気になるけど、他にこんなツアーは無いはずだ。




 それから2ヶ月は夢中に働いて、どうにか旅行に必要な金を捻出。


パスポート取得後、ツアーを主催しているHISの窓口にチラシを持って行き、受付を済ませた。


















 ツアー当日。


俺は、着替えやら何やらをリュックにまとめて、成田空港へとやって来た。


 向こうは寒いっつー話で、ダウンジャケットを弁当屋の同僚から借りてきた。


現金はカナダドル(1ドル100円くらい)に変えて、100ドルだけ所持。


弁当屋に関しては、バイトの身分の為、5日休みを取ろうが、とやかく言われることは無かった。




(つか、どこ行きゃいーんだ?)




 空港内は人があちこちに移動している。


集合時間は9時で、今は8時30分。


急がないと、ちょっとヤバい。


俺は、HISからもらった用紙を読み返して、集合場所を確認。




「2階のエアターミナル……」




 2階に上がって、辺りを見回す。


ビジネスクラス、エコノミークラスの改札が目に付き、更にその先に、スーパーエコノミークラスの改札を発見。


俺の持ってるチケットには、スーパーエコノミークラスと記載されている為、そこに向かう。


チケットとパスポートを見せ、エアターミナル内に入ると、記載されている番号の入り口へと向かう。




「……ここか」




 そこには、俺以外に2人、男と女が集まっていた。


一人はガタイのいい兄ちゃん。


もう一人は色白のねーちゃんだ。


集合時間まで後10分を切った。




(何か、緊張してきたな)




 初の飛行機での旅だ。


ちょっと、いや、かなり不安はある。


ツアコンがいるにしても、店とかじゃまず言葉は通じないだろうし、エコノミー症候群で飛行機に乗ってる最中に死ぬかも知れない。


そんな風に思っていると、変な奴がやって来た。




「皆様、本日はオーロラツアーにご参加頂き、ありがとうございます。 私、旅の案内役のカナシオです」




 お面に黒い衣装。


完全にカ〇ナシじゃねーか。




「今回は条件付き格安ツアーということで、皆様にはオーロラ鑑賞までにいくつか仕事を用意しておきましたので、よろしくお願いします」




 ベコリ、とカナシオがお辞儀をする。




「……」




 俺たち3人は顔を見合わせた。


……仕事すんのかよ。

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