第3話

トラックを走らせること、1時間。


海沿いにある公園らしき所にやって来た。


空は雲一つ無く、子供らのはしゃぐ声が聞こえる。




「ここは、葛西臨海公園内の広場。 今から、この草っ原に落ちてるロケットのパーツを回収してもらう」




「ロケットのパーツ?」




 おっさんは、地面に膝をつくと、虫眼鏡を取り出して何かを探し始めた。




「ほら、おめぇも探すんだよ」




 ……探すったって、分かんねーよ。


それに、そもそも何でロケットのパーツがこんな所に落ちてんだ。




「……」




 俺は、とりあえずおっさんに習って地面を探った。


あるのは、草、草、草だ。


たまに石ころとか、犬のうん〇が落ちてる。




「あった!」




 おっさんが叫び声を上げ、俺も駆け寄る。


おっさんは、緑色のプレートをつまんではしゃいでいる。




「何だよ、それ」




「何かの基盤さ。 さあ、探せ探せ」




 こうして、夕方になるまでガラクタ拾いを手伝う羽目になった。


















「こんなん、どーすんだよ」




 トラックの荷台には、バケツ一杯分くらいの、謎のパーツが集まっていた。


ネジやら、配線の欠片に、金属のプレート。




「大量大量。 じゃあ、こいつをウチまで運ぶか」




「……」




 もう辺りはうっすら暗くなって来てる。


それでも、まだ何か手伝わせる気かよ。




「これが終わったら飯、奢ってやるからよ」




 ……ちっ。


俺は、仕方なくトラックに乗り込んだ。
















 木々を抜けて、やって来たのは山の中。


そこに、突然現れた広場。


おっさんは、そこに車を止めた。




「昔、キャンプ場だった所だ。 採算が合わなくて閉鎖しちまったみてーだが」




 確かに、草木が伸び放題になっていて、手入れをしてる感じじゃない。


それより、俺は視界の先にある妙な物に目を奪われた。




「……何だ、アレ」




 原爆ドーム? みたいな、骨格だけのボロボロの建物がある。


だが、ドームというよりは、鉛筆だ。


やたら細長い。




「あんたの家か?」




「ロケットだよ」




 ……ロケット?


言われてみたら、確かに似てる。


ロケット型の家か。




「飛ばねーだろ?」




「飛ぶさ」




 ……冗談だろ。

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