第四百九話 主役になりたい……ですわ!


 異世界道具店。

 

「主役になりたいですわ」

「二人とも帰って」

 

 私何もしてない。

 

※※※

 

「大体前章含めて、どんだけ俺の世話になる気なの……?」

「良いじゃねえか。別に減るもんねえんだし」

「初詣で金は減ったけどね」

「私はな、この元デブ眼鏡爆弾と関わると貴重な時間が減るんだよ」

「それは俺も同じだという事忘れてない?」

 

 そうなのか?

 

「俺がいる時だけツッコミサボるのやめようか」

 

※※※

 

「それで美咲ちゃん。主役になりたい……というのは、あの機械を使うという事かい?」

「そうですわ」

 

 久しぶりに何かのパロドラマだ。

 

「それで、今回はどんな奴で出たいの?」

「そうですわね……江代さんがやっていたゲームで面白そうなのがあったのでそれっぽいのがやりたいですわ」

 

 ……。

 

「何故黙り込みましたの?」

「いや美咲……あのゲームはCMで手強いシュミレーションって呼ばれてんだぞ。馬鹿のお前に出来るわけがねえ」

「馬鹿にし過ぎですわ!」

「取り敢えずやるだけやってみようよ……俺の今月の仕事はこれで終わりたい」

 

※※※

 

 美咲が機械を被りドラマスタート。

 さて、美咲にどんどんツッコミ入れてくよ~。

 

「あれ、初ちゃん実況解説兼ツッコミやるの?」

 

 だってあいつ主役じゃろくな事ないしな。

 

『これは……ある一つの街の話。

その街では、三つの女子高に存在するスケバン達の集団がいくつもあった』

 

 これめっちゃ長くなりそうなんだが……それにこれ〇ローズじゃね?

 

「今の子達鈴蘭とか分かるんだろうか」

 

 いや選んだのはお前だろ。

 じゃなくてそんな事より……。

 

「?」

 

 これ普通に長編作れるレベルだろ。これだけで続けたら多分作者も読者も途中で飽きるぞ。せめて十話くらいにしておけ。

 

「大丈夫そんな事もあろうかと体験版渡しておいたから」

 

 あ……マジか。なら安心だ。

 

「チュートリアルの初期戦闘をクリアしたら終わりになるようになってるから」

 

 ほほう。

 

※※※

 

 ナレーションにツッコミを入れ終えた後、やっと美咲の出番だ。

 

「あれ……目覚めた……んですの?」

 

 眼鏡のブリッジを上げて、辺りを見回す。

 

「……ッ!」

 

 お……何か思い出したようだ。

 

「私は……中学時代に負けたんですわ……それであの人を……」

 

 凄いな。凄いんだろうけど体験版だからそこまでいけないんだよな。

 

「てかあの美咲ちゃんにあんな青春あったんだな……」

 

 たまに来る生理で嫌で嫌で仕方なかった私の中学時代の倍は良かったな。

 美咲はデブだったらしいけど。

 

「せ……いや女の子の日は今は大丈夫なの?」

「未だに私だけ来ると重いけど何とかなってる」

 

 人間の慣れは恐ろしいもんだ。

 

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