第四百十話 〇E風青春ドラマ その一


「副会長、また魘されてたぞ」

「……貴方は……?」

「副会長、アンタ人の名前いちいち忘れんなよ……あたしは桐島。親友じゃねえか」

 

 あー、なんか聞いた事ある苗字だな。

 まあスルーしよう。

 

「お、来たみたいだ」

「何がですの?」

「まだ寝ぼけてんのか? 今日集団戦やるって言われたろ? 副会長」

「そ、そうでしたわね!」

 

 あれ……もしかして適応出来てない?

 

「まあ君達みたいに非日常慣れしてないと厳しいだろうね最初」

 

 あれは非日常の元栓みたいなもんだけどな。

 

「確かに……爆弾魔だもんね……」

 

 二つの意味でな。

 

※※※

 

「おい!」

 

 美咲達がいる場の二人以外の声が響く。

 他の仲間でもないとすると、敵側だろう。

 

「お、〇E……っぽいのか?」

「どうだろ。確かに人数的にはそれっぽいな」

 

 あのゲームでは当たり前な、自軍劣勢敵軍優勢の法則は保てているからそうなのだろう。

 

「テメエがここの副会長だな?」

 

 スケバンに女盗賊の服装を混ぜたような集団が続々と現れる。

 

「元ネタも確か山賊とかならず者討伐からスタートだもんね」

「美咲にやらせるのが勿体ないくらい良く出来てる……」

 

 江代が喜びそう。

 

「副会長、戦闘準備だ!」

「は……はいですわ!」

 

「ここで一応美咲のステータスだけ確認しても良いか?」

「うん」

 

『クラス 生徒副会長』『物理D 防御A 速さC 魔法E 魔防A』『名実共に学校のテッペンである事を表す称号。爆弾を振るったり自爆したりして戦う』

 

 自爆して戦うって何だ……?

 

「さ……さあ……あの子確か死んでも蘇れるんだっけ?」

 

 私もだけど。

 

「ゾン

「みなまで言うな」

 

 自覚はしている。意識はしたくない。

 

※※※

 

 FE風に美咲と桐島を含めた四人が最初の位置につく。

『PLAYER TURN』

 

 ゲーム開始。

 すぐに桐島が発言する。

 

「良いか副会長、これはマジの喧嘩だ。ここで負けたら死ぬぞ」

 

『ユニットのロスト 死ぬと戦闘不能になります。戦闘不能になったユニットは二度と復活しません(カジュアルなんてあるわけねえだろ)。美咲が倒されるとゲームオーバーです』

 

 いきなり暴言飛んできたな。

 

「ゑ? カジュアルねえの?」

「……カジュアルありに設定するの忘れた……」

 

 あいつ終わったな。

 多分初心者にクラシックはキツイ……。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る