第三百六十二話 先輩とのデート その十二 ♡


 優香……あの程度の攻撃も見抜けないなんて……。

 

「あらあらお友達があんな早くやられちゃうなんて予想外だわ」

 

 単細胞め!

 

「江代ちゃん、加勢お願い!」

「分かったよママ!」

 

 母さんは拳、江代はもう一度木刀を構える。

 

「……」

 

 母さんは私と同等の力……それにプラス江代……こんなの私にどうしろっていうのよ。

 

「そして和泉と心夜はほぼ使えない……これは」

 

 私も負けを宣言しなければならないらしい……。

 だけどそんなの嫌よ。

 初と江代に恋人がいて、三姉妹一美少女の私に彼氏がいないなんて展開誰が許すのよ。

 読者もそんなの許せないわよね?

 

『許す』

 

 アンタに聞いてないのよスキルチェックすら突破出来ない無能。

 

『ホントにムズイんだぞコレ!』

「どーでも良いけど初達今どうなってんのよ」

『夕方になって最終目的地の映画館向かったな。このまま阻止出来なきゃ夜に告白するだろうよ』

「運命には……抗えないの……?」

 

 私は恋人が欲しいって……セ〇ゾの〇人くんみたいな人と付き合いたいって……そう思っ……うっ……。

 

『どした?』

「あ、しまった。自分でやってしま……おろろろろろろろろろろろろろろッ!!」

『テメエいい加減にしろよ!』

「ふっ、貴重な一文をどんだけ吐瀉物で汚せば気が済むのだ赤の姫……」

「あらあら、この状態なら攻撃効くかしら」

 

 ママが私との距離を詰め、無防備な私に拳を叩きつける。

 

「ううっ……」

「あらあら、まだ気持ち悪がってるわね」

 

 空気読めない奴は嫌いよ……あとで酷い目に遭って死になさい。

 

「……?」

 

 ……アレは……。

 

「三栄! 丁度良かった、私を助けなさ

「餌をやろう」

「にゃー♪」

「同じネタを使いまわしてんじゃないわよアホ剣士!」

 

※※※

 

「ぐうっ……」

 

 三栄まで……。

 

「一度ならず二度までも……何の用だ」

「アンタ……私がボコされてるのを見て助けようとは思わないの!?」

「思わんな」

 

 即答しないでよアホ剣士!

 

「お前を成敗しようとしてたのなら、止める理由など無かろう」

「あるでしょ! リア充撲滅に貢献してる私に協力しなさいよ!」

「残念だが、お前のその下らんものには付き合っていられん。だから……」

 

※※※

 

「僕は彼女らの味方に付くとしよう」

 

 どうしてよッ!

 

「もう私に対するリンチよね!? もうただただいじめよね!?」

「君が望んだ結果だ」

 

 くうっ……。

 

「おい心夜! アンタいつまで手こずってんのよ!」

『ちょっと待て! あと一話! あと一話時間をくれ!』

「こんな汚物みたいな話で時間取りたくないのよ早くしなさい!」

『汚物とはなんだ! 俺が一生懸命書いてる話だぞ!』

 

 浅井三姉妹でカップルがイチャイチャとか犬の糞以下の汚物よ。

 

『ごもっともです!』

「分かったら早くしなさい!」

『焦らせるな! 焦ると』

 

 ズドン!

 

『ぬあああああああああああああッ!』

 

 ……。

 

『こうな……る』

 

 ねえホントに私に希望はないの?

 

「ふっ……普段から悪行を働いている結果だな」

「誰が悪行働いてるって?」

 

「淀ちゃん」「貴様」「お前」

 

 三人で言わないでよ。

 

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