第三百二十八話 江代の恋 その九
「スタ子! どうし……た……?」
スタ子の視線の先には、アフロになった狩野がいた。
服もボロボロな所から、恐らく何かの実験をして失敗したのだろう。
「馬鹿な! 天才である博士が何を間違えたというんです!」
「いやあ違うのよスタ子。これはアレ。Gを退治しようとして爆薬撒いて火点けた結果だから」
馬鹿なの!?
「いや怖いの分かるけど、研究所ごと吹っ飛ばす気だったのか?」
「大丈夫この研究所は私の特別製で、爆発くらいじゃ吹っ飛ばないわ。核シェルターみたいなもんよ」
にしてもオーバーキルだぞ……。
「てかG殺すくらい普通にゴキジェットで十分だろ」
「そんな簡単に言わないでよ……」
「初さんは百発百中の腕を持ってますからね」
あんなん銃使うのと一緒だろ?
「重火器扱うの、私下手くそだからねえ」
よし。もしこいつがロボット操縦しても勝てる。
「追尾する弾はマストね」
ちっ。
※※※
「それで今日は何でここに?」
「ああ、超暇でな。江代には彼氏出来るし、和泉と美咲とはここまでで喋ったし、姉さんと優香は東京のライブ行ったし」
「……彼氏?」
「もうヘドバンは良いからな?」
美咲の一回でお腹いっぱいです。
「そんなヘドバンばかりする奴いるの?」
「いる」
「そいつに言っておきなさい。百万出したら怒り発散用ヘドバンマシン作ってあげるって」
「お、おう」
今百万の借金なんかしたら、あいつ家族から見捨てられるどころか殺されるんじゃねえか?
「あれ? 美咲さんは借金持ちなんですか?」
「今更!?」
ひもじいですわ~とか呟きながら昼休み過ごしてるっつーのに。
「借金か……原因はなんなの?」
「ああ……」
かくかくしかじか。
「なるほどね。全部ゴリラのせいと」
「おう」
「その美咲は今どうしてんの?」
「何とか家にはいるけど、まともなご飯食わせてもらえてねえからバイトしてるよ」
「ふむふむ……この章中に何とかした方が良い?」
「出来ればな。この章考えたら四割以上美咲の借金を何とかしようって話だし」
恐らくだけど飽きてきてる読者もいる筈。
「なあレンえもん」
「私をドラ〇もん扱いしないで」
「借金を消す道具ってない?」
「ほい」
「?」
「一応子供の友達だからな。黙って持っていけ」
道具どころかマジなリアルマネー出してきた!
「おい……道具は?」
「借金を消す道具とかないから」
「思いつかなかったんだよな?」
「……」
「作者」
はい。By作者
「……はあ」
※※※
場所は変わり、美咲宅。
「なんですの?」
「相変わらずやつれてんなあ」
「当たり前ですわ」
「そんなお前にこれやる」
「……何のつもりですの?」
「もう借金ネタ飽きたから、早くこれ焼肉屋に渡してバイト辞めてこい」
遠藤も疲れただろうし。
「受け取るとお思いで?」
「は?」
「だから、私が貴女からこんなものを受け取るとお思いですか?」
「いや私がお前みたいなゴミの為にここまでしてやってるだけでもありがたく思えよ?」
まあもらいもんだけど。
「そうですか」
「おう」
「貰います」
「何なんだよお前」
取り敢えず次の章以降借金の話は無くなりそうだ。おめでとう美咲。
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