第三百二十九話 江代の恋 その十


「さて帰るか」

 

 一人で暗い道を歩く。

 

「……」

 

 江代もそろそろ家に帰る頃だろうか。

 ……。

 ん?

 

「あれは……」

 

 私が見かけたのは、江代の彼氏だ。

 整った可愛い顔だが、肌が病的に白いあの少年。

 その子が向かう先は、病院。やはり病気なのだろうか……。

 

「……」

 

※※※

 

「ただいま」

「ふっ、戻ったようだな」

 

 江代はあの事を知ってるのだろうか。

 

「なあ江代……」

「なんだ?」

「あのよ……」

「……?」

 

 どうするか。

 江代はそれを知らないという前提で考えよう。なら今楽しそうな江代の顔を泣き顔にしても良いものか?

 きっとお袋にぶちのめされる。

 ここはやはり聞かない方が無難だ。

 

「やっぱ何でもねえ。楽しいならそれで良いよな?」

「? 急に納得されても何の事だか分からんぞ?」

「お前は知らなくて良いの! それより江代……姉さんの土産楽しみだな!」

「貴様……赤の姫の土産に期待するとは頭がおかしくなったか?」

 

 うん。期待しちゃダメなのは私が一番知ってる。

 

※※※

 

次の日の放課後。

今日は彼氏と会わずに家で過ごすと告げられた後、私は一人学校を出た。


「やっぱり気になるな……あの子の事情」

 

 部外者の私がいくら考えても仕方ねえけど。

 どうしても気になってしまう。

 

「自分の詮索癖が怖い」

 

 八章も周りの馬鹿共に振り回されると、何もかもが気になり始めてしまうものだ。

 そのうち〇ザエさんもびっくりの詮索ババアになりそうな予感。

 

「あー考えても仕方ねえ。アニメイト行こう」

 

 そんなコンビニ行こうみたいな感覚で、私は駅へと向かった。

 河毛駅から草津駅まで大体一時間。

 アニメイト草津店に到着した。

 

「ル〇ィちゃんグッズ買おうかな」

 

 これは作者も思ってる事だが、〇ヶ埼のアニメ化を待ち望む一方で、Aq〇ursが過去のものにならないかどうか心配だ。

 まあ映画が終わって、サン〇ャインが始まっても人気が途絶えなかった〇ューズという前例があるからその必要は無いかもだが。

 

「たまには江代にもなんか買ってくか」

 

 言い忘れたが、江代もラ〇ライブは好きだ。

 推しはどうやら国〇田花丸と津〇善子らしい。

 〇子は予想出来たが、〇丸は予想外である。

 

「まあ両方可愛いと思うけど」

 

 そのまま三枚クリアファイルを購入。店をあとにする。

 だがそこで、

 

「うおっ」

「いて」

 

 誰かとぶつかる。

 謝ろうと姿勢を正し、

 

「ああ……すみま

「?」

 

 そこで気付く。

 何とぶつかった相手は、

 

「お前……」

 

 江代の彼氏だったのだ。

 

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