第三百二十七話 江代の恋 その八


 放課後。

 

「ふっ、約束の時だ。今日も彼を幸せにしてみせる」

 

 そんな某ロボットアニメの美形少年みたいな表情をした後、江代は駆け足で目の前から去る。

 

「この前私と一緒に〇ヴァ見たせいか?」

 

 あれは名作だから漫画家目指してる江代には是非見て欲しい。

 勿論そこでこの話を読んでるそこのお前にも。

 

「何ならこの小説の最終回エ〇ァ風で良いや」

 

 某漫画と某ドラマでも同じ事してたし。

 

※※※

 

 さて、〇ヴァの話は置いといて。

 

「放課後どーすっかなあ……」

 

 姉さんと優香はいねえし。

 和泉と美咲はこの長編では登場したし。

 

「〇ヴァ……」

 

 ダメだ頭から離れない。

 ん……それなら。

 

「あ、そうだ。スタ子と遊ぶか」

 

 登場してないし、丁度ロボットアニメ出てもおかしくないキャラだしな。

 

「おーいスタ子」

「初さん?」

「一緒に帰るか?」

「え、良いですけど急にどうしたんですか?」

「急にロボットと話したい気分になったからな」

「何が初さんをそうさせたんです?」

「エヴァンゲ〇オン」

「私使徒来ても戦えませんからね!?」

 

 姉さんに負けてるからな。確かにそれは怪しい。

 

「そういや江代の木刀の機械とお前ってどっちが強いんだ?」

「それは博士に聞いてみないと分からないですね……」

 

 なるほどな。

 

「研究所行くか。江代いなくて暇だし発明品見せてもらおう」

「他人に興味が無さそうな初さんが妙に積極的ですね……」

 

 ゑ? 私ってそんな他人にドライな印象なのか?

 

「ええ」

「即答すんな否定しろ」

 

※※※

 

「ところで江代さんは何で一緒じゃないんですか?」

「先に言っとくぞ。これ聞いても他人にヘッドバットとかしないよな?」

「しませんよ!」

「武装展開も禁止だぞ」

「貴女私を何だと思ってます!?」

「自立型殺戮兵器」

「酷いです!」

 

 まあ事実ではあるよな。

 

「取り敢えず姉さんと江代とスタ子を前線に立たせておけば大抵の敵は死滅しそうだし」

 

 私は戦わねえけど。

 

「いや初さん天才銃士なんでしょ?」

「あのな、無駄な戦いで命失うくらいならお前らの命を使うわ」

「初さんいつの間に性格がそんなゲスの極みになったんですか……」

「お前らに対する一般人の標準的な回答だと思ってるが」

「そうなんですか!?」

 

 そうなんです!

 

「取り敢えず自分が異常である事は認めような」

「はい……」

 

※※※

 

 研究所に到着。

 

「先に言いますけど……先月のハロウィンの時みたいな騒ぎを起こさないで下さいね」

「約束する」

 

 ブザーが鳴った時はホント何事かと思ったしな。

 

「お邪魔します」

 

 私は門が開いた入口を跨ぎ、研究所の敷地へ。

 スタ子も一緒にだ。

 そのまま研究所の中へと入り、スタ子の部屋で待機。

 

「博士呼んできますね」

「おう」

 

 しかし今日は静かだなあ。

 休みなのだろうか。

 

「博士ええええええええええええッ!!」

「!?」

 

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