第二百八十六話 ハロウィン その一


 十月三十一日。

 

「今日はハロウィンか……」

 

 まあ……言うてもうそんな事を考える歳でも無いのだが。

 

「そろそろ七章終わるし寝て過ごそう」

 

 そのまま家の扉を開ける。

 すると……。

 

「?」

「お菓子くれなきゃ悪戯するわよ」

 

 アレ? 何で家に姫とペル〇ナ3の主人公がいるんだ……?

 

「あの……どちら様ですか?」

「ふっ……お菓子をくれなきゃ……ペ〇ソナ呼ぶぞ」

 

 警察呼ぶぞ感覚で言うな。

 

「大体女子高生がハロウィンにガチって……ここ東京と違うんだぞ?」

「あ、そうね。また渋谷に

「もう二度とテメエと東京なんか行かねえ!」

 

 ナンパの件で懲りた。

 

「はあ……。んで、行くんだな?」

「うん」

「まあ良いや。楽しんできな」

「?」

「何でそこ首傾げた?」

「何言ってんの? アンタも行くのよ」

「私コスプレ用の服なんて持ってねえぞ」

 

 レイヤーに憧れるけど私の容姿レベルじゃ無理だ。

 

「ふっ、貴様は化粧の一つも出来ないのか」

「私が化粧してもイタイだけなんだよ」

「だから貧乳なのよ」

「関係ねえだろ!」

 

 こいつら貧乳を私の無精のせいにし過ぎだろ!

 

「あのな……そういうお前らこそ、見てくれは良いんだからもう少し自分磨きをすれば幸せな人生送れるんだよ」

「性格まで丸々認めてくれる人探すわ」

 

 残念だけどいねえよ。

 

「ふっ、吾を抱きしめてくれる人などい、いらん……」

 

 もしもし震えてますよ江代さん。

 

「とにかく行くの。分かったわね?」

「嫌だ」

「分かったわね?」

「嫌だ」

「殴って欲しくない?」

「嫌だ」

 

 あ。

 

※※※

 

「じゃ、行くわよ♪」

 

 痛え……。

 

「まずはお隣さんから行くわよ」

「ふっ、そうだな」

 

 ホントにこいつらに襲撃される家が可哀想過ぎて仕方ねえ。

 

「……」

 

 ピンポーン♪

 

「お菓子をくれなきゃ悪戯するわよ!」

「ふっ、〇ルソナ呼ぶぞ?」

 

「げっ……ゴリラの淀子」

 

 がしっ!

 

「逃がさないわよ~? いつもカツアゲされてる奴よね~? アンタ」

「ひ、ひいっ!」

「丁度良かったわ。お菓子じゃなくて現金……いやキャッシュカードと暗証番号頂戴? 出来れば親のね」

 

 怖え……。

 

※※※

 

「~♪」

「ふっ、早いな赤の姫は」

 

 ……。

 幸先良さそうに見えるけど……勿論ダメだからな。

 

「おい姉さん……お前に罪悪感は

「ない」

 

 デスヨネー。

 

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