第二百六十一話 体育祭 その四(スタ子視点)


 あれ? 何故私に移ったんですか?

 

「初ちゃん?」

「男のぉ……肉ぅ……食べたぁい……」

 

 気持ち悪いですッ!

 アレは何ですか!?

 

「貴様……アレを見てしまったようだな」

 

 その声はッ!

 

「ふっ……吾だ」

「誰ですか?」

「どうしてだよぉお!」

 

※※※

 

「あ、あのな貴様。これだけは言っておくが、無暗に同じネタを使いまわすでない」

「え……こ、これがしきたりだと思いまして」

「貴様はネタが理解出来ていないようだな」

 

 私はそもそもこの世界のシステムが理解できません!

 

「ふっ……まあ良い。戦えるのなら、吾と共にアレを撃破しろ」

「げ……撃破!?」

「何だ? 貴様もアレを倒すつもりで立ちはだかったのだろう?」

「いやそうですけど! 殺すつもりはありません!」

「前回のをちゃんと見なかったのか? ギャグパートではいくら死んでも蘇生する仕組みになっておる」

「いくら何でも初さんがッ!」

「落ち着けバカ者! もうアレは貴様の知る貧乳の銃士ではない!」

 

 そんな……。

 

「あれは淫獣だ。己の性欲を満たすまで、アレは破壊と殺戮を繰り返す!」

「……」

 

 はあ……私は。何故マスクを着けただけで獣に変化する人間がいる世界に生まれたのでしょうか。

 

「恨むなら、自分の運命を恨むのだな。吾が敵に国を滅ぼされたように」

 

 え、江代さん国の主!?

 

「そうだ」

 

 え、もしかして私の想像するより江代さんは凄い人?

 

「いやただのイタイ人なのにな」

「あのポンコツ真に受けてる?」

「学校に粗大ごみの捨て場ってあった?」

「知らなーい」

 

「……あやつらの言葉など気にするな」

「傷吐きました!? というか嘘を吐いたんですか貴方!」

「嘘は吐いていない! 吾を認めよ!」

「無理です!」

「……貴様、そこはイエスユアハイネスと答えるのが普通だぞ」

 

 分かりませんッ!

 

「とにかく……何かを恨んだ所で始まらない。この事態を解消したいなら、自分のやるべき事を見失うな!」

「何とかならないんですか?」

「戦うしかなかろう! 貴様も戦闘用ロボットなら聞き分けたまえ!」

 

「肉ぅ……食べたぁい。お腹ぁ空いたぁ! 女! 死ね!」

 

「アレが現実だ。アレに殺されたいのか?」

「それは……嫌です」

「なら、話は簡単だろう?」

 

 江代さんは木刀を構える。

 

「この視点になった以上、貴様が奴を倒すんだ。吾も全力で支援する……行け!」

 

 し、仕方ないです!

 

「うおおおおおおおおおおッ!」

 

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