第二百四十四話 藍田と江代 その三


 別の日。

 

「じゃあまたね」

「はい。また会いましょう」

 

 ……。

 

「江代」

「ふっ、任せろ」

 

 さて、今度こそ。

 

「これより指揮を執る。前回みたいな事をしたらお前ら懲役部隊に配属だからな」

『ふっ、ノってるな』

『犯罪者扱いやめい』

 

 いやもうこの時点で私ら全員犯罪者だからな。

 

「ホントはこんなんやりたくねえけど」

『プリン六十九個』

「是非協力させてくれ」

 

 数分後。今回は特に失敗する事なく、家まで到達した。

 

「マッピングは完了した。一度帰還しよう」

『ふっ、了解した』『OK』

 

※※※

 

 そのままカフェに移動。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 早速藍田さんが気色悪いです。助けてください。

 

「ヤバいだろあの家……あの子の臭いが……良い匂いが……」

 

 ……警察呼ぶか?

 

「ふっ、貧乳の銃士よ。貴様にそれをする資格はない」

「何だと……?」

「貴様も大体こんな感じだからな」

 

 ……あ?

 私とこの汚物を一緒にしないでくれ。

 

「誰が汚物だシパクぞおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

「こういうところだ」

 

 江代……お前には普段私がどう見えてるんだ?

 

「まったく……無自覚というのは恐ろしいな」

「お前らにだけは言われたくねえな」

 

※※※

 

「じゃあ今度はどうやってあの家からパンツを盗むかだな」

「ふっ……そうだな」

「うーん……」

「まあ簡単な話、彼女が家族全員で出掛ける日を選んで空き巣をするのがベタだな。藍田」

「なんだ?」

「取り敢えず彼女に電話してみてくれ」

 

 プルルルル……。

 

「もしもし」

『あ、こんにちは』

「さっきのデート楽しかったよ」

『私も楽しかったです』

 

 何か水着いらないとか言われたりしたとか言ってたが、普通に仲良さそうに聞こえる。

 てか滅べリア充。

 

「ところで、今月って君の家族ってどっかに出かけないの?」

『急にどうしたんです?』

「仕事は君と会えない日に頑張りたいから、さ」

 

 相手はパンツを盗む為だなんて思ってなさそうだけど。

 

『明日ですね。家族で買い物行きます』

 

 あ、割と近いタイミングで行ける。

 

「ありがと。明日は楽しんでね」

「はい! 藍田さんもお仕事頑張ってください!」

 

 ピ♪

 

「計画通り……」

 

 まあ上手くいって良かったよ。

 

「ところで空き巣の件だけど、どうするよ? ただやってもバレるだろ?」

 

 技術持ってる奴もいねえしな。

 ……?

 

「どうした?」

「バレないようにするのは無理だけど、逆にバレないくらい不自然な状況を作れる奴ならいるぞ」

「ホントか?」

「あとでちょっと苦労するかも知れないけど良いか? 多分捕まりはしない」

「パンツの為なら」

 

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