第二百四十五話 藍田と江代 その四


「で、何の用?」

「頼みてえ事がある。お前の力でこの家の全ての入口を破壊してくれ」

 

 破壊衝動に勝てない姉さんならこれくらい……。

 

「ついにアンタ頭狂った?」

「お前にだけは言われたくねえ」

「私も今のアンタにそれ言われたくないわよ。この三話の間にアンタに何があったのよ」

 

 プリン六十九個……そんなん提示されて断るなんてアホの極みや。

 

「アホよアンタ。完全に犯罪に誘われてるじゃない」

「これは犯罪じゃないぞ!」

「変態は黙ってなさい。あとちゃんとデート出来るようになりなさい」

「あれはお前が無茶ぶりばっかするのが 

「で……この変態は放っておいて、初。アンタはこの家の入口全部を破壊する代わりに何をしてくれるかしら?」

 

 ……やっぱそうくるよな。

 

「じゃあプリン半分やる」

「ちょっと足りない気もするけど良いわ」

 

 あ、OKなんだ。

 後でこいつが食うプリンに色々悪戯しておこう。

 

「入口と一緒に死ぬ?」

「ごめんなさい」

 

※※※

 

「じゃあやるわよ。どうなっても知らないからね」

 

 ああ、思う存分やってくれ。

 

「はあああああああああッ!!」

 

 ドラゴン〇ール的な効果音と共に、姉さんの身体を白いオーラが包む。

 

「はあっ!」

 

 そのまま爆発音が鳴り響く。

 辺りは光に包まれ、収まった頃には……。

 

「……よし」

「……」

 

 そこに家は無かった。

 

「……」

 

 どうしたものか。入口どころか家を瓦礫にしてしまった。

 

「ギャラは貰うからね。んじゃ、私はカツアゲしてくる~♪」

 

 ♪、じゃねえんだよ。

 

「取り敢えずパンツ探せ。そしたら逃げるぞ」

 

※※※

 

 数分後。

 

「何とか良いのが手に入った」

 

 瓦礫の中から藍田が取り出したのは、黒の下着だった。

 

「やっば男はそういうの好きなのか」

 

 先輩とスる時はそういうの穿いてこ。

 

「お前はまず先輩と付き合えるように頑張れ」

 

 馬鹿二人が邪魔するから無理だ。

 

「人のせいにする前に努力を

 

 だから主犯はお前と姉さん。

 

「ふぅ……今日は楽しめそうだ」

 

 間違ってもこいつがズリってるのを映すなよな?

 

『さーてどうしよっかなあ』

 

 よりによって今回はLINEかよ。

 

※※※

 

 数日後。

 

「てわけで藍田。ちゃんと出すもん出してもらおうか?」

「何? 〇ンコ?」

 

 切り落とすぞ?

 

「そうじゃなくてプリンだ。姉さんにも怒られちまう」

「あーあれね。分かった」

 

 プリン六十九個か。楽しみだ。

 

「はいよ」

 

 ……。

 

「をい」

「何だよ」

「なんだこれは」

「約束のプリン」

「お前さあ……何で市販の奴? 常識なしか」

「? 他に何があるんだよ」

 

 あーね。こりゃあ彼女にヤらせてもらえないわけだわ。

 

「これは重大な契約違反だな」

「は!?」

「罰としてお袋のサンドバックに任命する」

「あぁんまりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

※※※

 

「まあそれはそれとして、お前彼女の家どうすんの?」

「まあ……時間が解決してくれるさ……だってギャグだし……」

 

 そんなに言うなら俺の修復も料金制にするぞ? By作者

 

「……」

 

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