第百九十話 アイドル大会編 その十六


「痛い……痛いぜ……」

 

 友達助ける為とは言え、何で私が鉄骨からわざと落下しなきゃあかんのか……。

 

「初ちゃん大丈夫?」

 

 和泉……お前はもう喋るな。

 

「背骨が砕けそうになるくらい痛かったけど、まあ何とかなってる」

 

 普通の人間より割と頑丈じゃなかったら死んでたな。

 

「離れたくない……離れたくないよ……」

 

 いやもうヤンデレが加速してギャグとして処理出来ねえレベルだからやめてくれ。

 私には先輩がいるんだからな?

 

「ふっ、いつから手に入れられると錯覚していた?」

「三章で失敗したのはほぼほぼ姉さんのせい」

 

 ホント一度で良いから殴りたい。

 

※※※

 

「さーて次は?」

 

 残ってるのは姉さん、美咲、優香か。

 

「つ、次は私が行きますわ!」

 

 美咲か。

 うん、死んだな。

 

「決めつけないで欲しいですわ!」

 

 お前江代の次くらいに死亡フラグ立てる癖に何言ってんの?

 

「黙りなさい初さん。私の本気を見せますわ!」

 

 頑張れ。

 

「うおおおおおおおおおおッ!」

 

 豪快に飛……

 

「おおおおおおおお……」

 

 ゑ?

 

「……」

 

 何してんの? 何でこいつ鉄骨の前で立ち止まった?

 

「……」

 

 鉄骨を調べ始めたぞ……?

 

「馬鹿達が準備したものですわ……爆弾とかが仕掛けられていないかどうか調べないと」

 

 ボンバーウーマンはテメエだろ!?

 一番謎なのは、わざわざ爆弾が効かない姉さんに爆弾で戦う事だけどな。

 

「い、いきま

「早く行きなさいよ」

 

 姉さんが美咲の背中を押す。

 

「ゑ……あああああああああああああッ!!」

 

 WASTED。

 

「死んでませんわよ!」

 

※※※

 

「うう……」

 

 てか美咲も頑丈だな。

 

「私だって女なのに頑丈とか言われても嬉しくないですわ」

 

 よく考えたらそうだな……。

 

「しかも初さんに言われるなんて……あとでひき肉にしますわ」

 

 ふざけんなよ?

 

「あとは優香と淀子ね!」

 

 これはどちらも生き残りそう。

 

「私先に行くわ」

 

 最初に出たのは姉さん。恐怖すら抱かず、鉄骨の上を疾走。

 まあ全力ではないが。


「流石の姉さんでも鉄骨の上を全力疾走は無理か」

「変に全力出して落ちるわけにはいかないわよ」

「おーい淀子っち!」


 ん? なんで優香の声が近いんだ?

 

「一緒に走ろ!」

「いやなんで横行こうとしてんの!?」

 

 鉄骨の上で並走しようとかどんだけ馬鹿なのこいつ!

 

「淀子っちいいいいいッ! 隣ドーン!」

「あ……」

 

 あ……。

 

「あああああああああああああああああッ!!」


 優香ァァァァァァァァッ!!


 

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