第百六十話 関節キス


 二人の奇行に困り果てていた頃。

 

「初ちゃ~ん!」

 

 和泉が私の所にやってきた。

 

「おう和泉」

「今日は一緒に泳ぎたいな」

「お、おう」

 

 てか何故顔が赤いのか説明してくれないか?

 

「ごめん……初ちゃん可愛くてつい……」

 

 この台詞嫌な予感しかしねえ。

 何か特殊性癖が目覚め始めてねえよな?

 

「レズになってるかもよ」

「怖い事言うな!」

 

 そんな事は無い筈だ……。

 

「ふっ……震えて眠れ」

「うるせえ和泉ぶつけんぞ」

「ひどいよ~!」

 

※※※

 

 はぁ……。

 

「どうせなら先輩と行って、先輩に私の水着姿見て欲しかった」

 

 そして我慢出来なくなった先輩に、無理矢理家に連れていかれて……。

 

「ぐへ……ぐへへ……」

「初ちゃん大丈夫?」

「ひゃあッ!」

 

 ……。

 

「気配を消すな和泉」

「も~。私を避けないでよ~」

「避けてない避けてない」

 

 嘘だけど……。今日ちょっと怖いし。

 

「なあ和泉……」

「なーに?」

「お前は、私の事……好き……なのか?」

「どーしたの? 急に」

「いや、その……特に理由は無いけど……」

 

 姉さん殺すとか言ってた回が頭に過る……。

 

「好きだよ?」

「……ゑ?」

「私、初ちゃんと学校で会えるのが嬉しいの。声を聞くのも楽しいし、疲れてる顔とか、たまに笑ってる時とかも……愛おしくて」

「和泉……」

 

 いや隠す気あるのか無いのか分かんねえよ!

 

「あ、そうだ……」

「?」

 

 和泉はそのまま駆け出す。

 

※※※

 

「お待たせ……」

 

 照れながら私にかき氷を渡した。

 

「えっと……何で一個だけ? しかもスプーン一つ……」

「ちょっとしたい事があるの……食べて……」

 

 もう読めたけど……仕方ねえな。乗ってやる。

 

「いただきます……」

 

 パクッ。

 

「うん。美味しいと思うぞ」

「良かった~。じゃあ私も……」

 

 あむっ。

 

「初ちゃん……初ちゃん……」

 

 ナニコレ……もう隠す気ねえだろ。

 

「えへへ……ごちそうさま……」

「お……おう……」

 

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