第百六十一話 握手会


 取り敢えず和泉から離れた。

 

「……はあ」

 

 前までは普通だと思ってたのに、あいつは段々おかしくなっていく。

 本当に怖い。

 

「ふっ、震えて眠る暇も無いようだな」

「いや寝ないけどな」

 

 今度は江代か。

 さっきのスク水から、白十字のマークが入った黒いビキニに着替えたらしい。

 

「ちっ……」

「何を怒っている?」

「自分の胸に聞け」

 

 絶対気付いてるだろうけど。

 

「てかお前ってこの中で一番ナンパとかされやすいよな」

「何故だ?」

「お前有名人だし。そんなお前が無防備にこんな所で立ってたら、強姦魔とかに襲われそう」

 

 いや、でも江代のファンって江代の崇拝者多いから少ないのか……?

 

「それは……怖いよ」

「何故眼をうるうるさせる!?」

 

 いや強姦?

 良いじゃねえか。それで処女卒業出来るなら……。

 

「ふっ、貴様の感性を疑う」

「そして元に戻って馬鹿にするんじゃない」

 

 京極先輩にやられたいです。ハイ。

 

※※※

 

「これ絶対ニコ動に投稿されてるアニメだったら胸囲の格差とかってタグ付くよな……」

「ふっ、吾をネタにしても構わない」

「アニメだったら、の話だけどな」

 

 私の胸はあまり見ないでくれよな?

 

「もうTwitterのイラストで貴様の平胸は多くの人に見られてると思うぞ」

「じゃあ馬鹿にした奴にエアガンを」

「物騒なものを持ってくるんじゃない」

 

 うるせえチャッカマンとスタンガン持ち込んだ奴らに言われたくねえ。

 

「てかもう私達が姉さんと来てる時点で、核兵器持ち込んだみたいなもんだろ」

「それもそうだな」

 

「あの、江代令嬢ですか?」

「ふっ……どうやら貴様の言う通りだったみたいだな」

 

 え……マジで? ホントに来たの?

 なら混ぜてくれ。

 

「ふっ、好きに強姦すると良い……」

「いえそんなつもりはないです。サインか握手お願いします」

 

 どうしてだよぉお!

 

「いやよく考えたら強姦っておかしいな」

「だからしませんって!」

 

 いやしろよ……巨乳美人なんだから。

 

「貴様ボケるのかツッコむのかハッキリしろ」

「ツッコんでるわ思いっきり!」

「いえボケてると思います。というか貴方は誰ですか?」

「この馬鹿の姉です」

「あっそ興味ない」

 

 ぶちのめすぞ……。

 

「お、江代令嬢だ! サイン良いですか!?」

「今は無理だから握手だけだな」

「ありがとうございます! ぶひぶひ……」

「ふっ、これからも吾の為に尽くせ」

「イエスユアマイマスター」

 

 どっかのアニメとかでありそうな光景……。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る